Vinyl Record Reviews
Alexander Robotnickは、イタリアの音楽プロデューサーMaurizio Damiが使うエイリアスだ。ジャンルはElectronicで、New Wave、Synth-pop、Electro、Italo-Discoの文脈で語られることが多い。80年代初頭から電子楽器を使った制作を進めてきた人物で、イタロ・ディスコからエレクトロまでをまたぐ活動が知られている。
1983年に発表した「Problèmes D'Amour」は、Alexander Robotnick名義を代表する曲として扱われている。本人はこの曲を「自認する失敗作」として語っており、当時のセールスは1万枚程度にとどまったとされる。ただし、レーベル表記が大きく印字されていたことがきっかけでシカゴのディストリビューターの目に留まり、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノのDJたちの間で繰り返しプレイされるようになった。
制作の出発点には、Roland TR-808とTB-303という2台のシンセサイザー/リズムマシンがあった。そこからディスコ曲の制作に取り組み、結果として「Problèmes D'Amour」が生まれたとされる。イタロ・ディスコの一曲としてだけでなく、後のハウスやテクノの現場で参照された曲としても知られている。
90年代のMaurizio Damiは、Alexander Robotnick名義だけでなく、複数のプロジェクトを手がけている。確認できるものとしては、Masala、The Third Planet、Alkemya、Govinda、E.A.S.Y.などがある。ひとつの名義に固定せず、作品ごとに名前を使い分けながら制作を続けていた流れが見える。
この時期も電子音楽を軸にした活動で、ジャンルの外側に出るというより、別のプロジェクトを通じて音の方向を変えていった形だ。
2002年には、自身のレーベルHot Elephant Musicを設立している。制作だけでなく、発表の場も自分で持つようになった動きだ。2003年の『Oh No... Robotnick!』では、エレクトロへの回帰が示されている。
このあたりからも、80年代のイタロ・ディスコにとどまらず、エレクトロを中心にした電子音楽の制作を継続してきたことがわかる。
Alexander Robotnickの名前がよく出るのは、やはり「Problèmes D'Amour」の存在が大きい。イタロ・ディスコの楽曲でありながら、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノの現場で拾われ、後続のプロデューサーにも参照された。Carl Craigによるサンプリングも知られている。
音楽的には、New Wave、Synth-pop、Electro、Italo-Discoの境界を行き来する位置にある。80年代初頭の電子楽器を使った制作から始まり、その後も別名義や自身のレーベルを通じて活動を続けてきた点が特徴だ。
現在も関連サイトや各種SNSで情報を追うことができる。80年代のイタロ・ディスコを入口にしながら、エレクトロの文脈でも名前が残っているアーティストだ。