Vinyl Record Reviews
Amy Winehouseは、ロンドン出身の英国人シンガー/ソングライターで、R&B、ソウル、ジャズを軸に活動したアーティストだ。1983年9月14日にロンドンで生まれ、2011年7月23日に同じくロンドンで亡くなっている。
音楽性は、Jazz、Funk / Soul、Reggaeをまたぎながら、Soul、Neo Soul、Smooth Jazz、Reggae-Popの要素を取り込んだものとして整理される。作品ごとに見ても、ソウルの感覚を土台にしつつ、ジャズのフレーズやレゲエ由来のリズム感が入っている。
デビュー作は2003年のアルバム『Frank』で、マーキュリー・ミュージック・プライズの候補作になった。さらに同年のデビュー曲「Stronger Than Me」で、2004年にIvor Novello Awardを受賞している。
2006年には2作目のアルバム『Back to Black』を発表した。この作品はその年の高セールス作品のひとつになった。以後の代表作として広く知られているのもこのアルバムだ。
2009年から2011年にかけては、ツアー、作詞、イベント出演を中心に活動していた。2010年12月から2011年6月までツアーを行い、2011年6月18日にはセルビアでの公演も記録されている。
2011年7月23日、ロンドン・カムデンの自宅でアルコール中毒により27歳で亡くなった。死後、Island Recordsから『Lioness: Hidden Treasures』(2011年)がリリースされている。Lioness Recordsの設立者でもある。
Amy Winehouseの曲作りでまず目立つのは、歌詞に書かれた感情の具体性だ。恋愛、別れ、罪悪感、後悔といったテーマが、そのまま楽曲の中心に置かれている。
ウェブ上で語られている代表曲「Rehab」には、マーク・ロンソンとニューヨークを歩いていた時に生まれたという逸話が残る。ロンソンがピアノ・トラック入りのポータブルCDプレイヤーを渡し、ワインハウスが1時間ほど離れた後、陰鬱さとユーモアが同居する曲を書き上げた、という話だ。
『Back to Black』では、マーク・ロンソンの提案でブルックリンのファンクバンド、ザ・ダップ・キングスがバックバンドとして参加した。デイトーン・スタジオで録音され、ニール・シュガーマン、イアン・ヘンドリクソン=スミス、ホーマー・スタインワイス、ニック・モヴション、ビンキー・グリプタイト、トーマス・ブレネックらが演奏に加わっている。
このセッションからは「Rehab」「You Know I'm No Good」「Back to Black」「Love Is a Losing Game」「Wake Up Alone」「He Can Hold Her」などが生まれ、のちに「Valerie」も広く知られるようになった。サウンド面では60年代ソウルを思わせる編成と、現代的なポップ感覚が同居している。
『Back to Black』の多くは、当時のパートナーだったブレイク・フィールダー=シヴィルとの関係を背景にしている。破局、不貞、罪悪感、悲嘆といった要素が曲の中に入っていて、そこでダップ・キングスの演奏がしっかり支えている。
マーク・ロンソンはワインハウスとダップ・キングスそれぞれとロンドンとニューヨークで別々にセッションを重ねており、ワインハウス本人がバンドと初めて会ったのは、アルバムのプロモーションが始まってからだったという。制作の進め方も含めて、かなり特徴的な作品だ。
Amy Winehouseは、ソウル、ジャズ、レゲエをまたぐ歌唱と、私生活をそのまま反映したような作詞で知られている。特に『Frank』と『Back to Black』の2作で、音楽的な方向性と楽曲の書き方がはっきり見えるアーティストだ。