Vinyl Record Reviews
Anacondaは、1969年にロンドンで結成されたアシッド・フォーク・グループだ。アルカディウム解散後のミゲル・サージデスが中心となり、男性3人・女性2人の編成で活動した。ジャンル分けではRock、Folk、World, & Countryにまたがるが、実際の音像はサイケデリック・ロックとフォーク・ロックを軸にしたものとして紹介されることが多い。
確認されている活動の中心は、プロモーション用に制作された10インチのアセテート盤『Sympathy For The Madman』だ。収録は5曲で、2面のEmidiscに刻まれている。この音源がバンドの唯一確認されている録音とされている。
正式なアルバム発売には至らず、当時は広く流通する形にはならなかった。そのため、長く幻のアシッド・フォーク・バンドとして扱われてきた。
ミゲル・サージデスは80年代に自宅火災で私物を失っており、この録音も長らく現存しないと考えられていた。ところが2019年に唯一残っていたアセテート盤が発見され、話題になった。
発見直後には高額の買取提案があったと伝えられており、7000ユーロの提示も断られたという。コレクター市場でも注目を集めた音源として扱われている。
その後、収録5曲はLPとして正式にリイシューされ、「It's Not Me」「Riding Alone」「Who Are We?」「Outrider」「Sympathy For The Madman」が改めて聴けるようになった。
Anacondaのサウンドは、ヴァイオリンやフルートを使った編成が目立つ。演奏全体は、疎外感や物悲しさを前面に出した作りで、メランコリックな雰囲気を持つ。
アシッド・フォークの枠に収まりつつも、サイケデリック・ロックの感触や、フォーク・ロックの骨格も見える。後にコーマスが確立するスタイルを先取りしていたという見方もある。
Anacondaを語るうえでは、ミゲル・サージデスがアルカディウムのメンバーだったことが重要だ。アルカディウム解散後に新たに組まれたバンドとして、彼の音楽的な流れをつなぐ存在になっている。
また、2019年のアセテート盤発見によって、長く埋もれていた録音が再評価された点も大きい。オリジナル盤がほとんど伝説扱いだっただけに、再発後はアシッド・フォークの重要作として改めて注目されている。