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Aphrodite's Childは、ギリシャ出身のロック/ポップ・バンドで、1967年から1972年まで活動した。中心メンバーは、キーボードのVangelis(Evangelos Papathanassiou)、シンガーのDemis Roussos、ドラマーのLucas Siderasで、後にギタリストのArgiris Koulourisも加わった。
前身となるギリシャの60年代バンドThe Forminxが解散したあと、Vangelis、Roussos、Siderasはロンドンでの活動を目指してギリシャを離れたが、途中でパリに留まり、その地でAphrodite's Childを結成した。活動の出発点がギリシャでもロンドンでもなくパリだった点は、このバンドの経歴を語るうえでよく出てくる。
バンドの名前を広く知らしめたのは、Pachelbelのカノンに着想を得た「Rain and Tears」だ。シングルとして発表されると、ヨーロッパ各国のチャートで大きなヒットになった。クラシック由来の旋律をポップソングに落とし込んだ形で、Aphrodite's Childの初期像を示す代表曲として扱われることが多い。
この曲の成功で、バンドは欧州圏で大きな存在感を得た。以後も活動を続け、合計3枚のアルバムを残している。
Aphrodite's Childの音楽は、基本にポップ・ロックがありつつ、サイケデリック・ロックの要素を含んでいる。初期はメロディの強さや歌ものとしてのわかりやすさが前に出る一方で、活動が進むにつれてVangelisの作曲面がより実験的な方向へ動いていく。
その流れがはっきり見えるのが、1972年のラスト・アルバム『666』だ。ここでは民族楽器、合唱、朗読、シンセサイザーなどを組み合わせた構成が採られていて、サイケデリック・ロックとプログレッシブ・ロックの境界をまたぐような作りになっている。
『666』は、Vangelisと作詞家Costas Ferrisが新約聖書の『ヨハネの黙示録』を題材に手がけた二枚組のコンセプトアルバムだ。発表当時は大きな商業的成功にはつながらなかったが、後年になるとプログレッシブ・ロック史の重要作、初期コンセプトアルバムの代表例として見直されていく。
この作品は、当時としては先進的なシンセサイザーの使い方でも注目されている。Aphrodite's Childの中でも、ポップ寄りのヒット曲を持つバンドという顔と、実験性の強いアルバムを残したバンドという顔が、はっきり分かれるところだ。
『666』は、YesのJon Andersonをはじめとする複数のミュージシャンに影響を与えたとされる。AndersonはのちにVangelisとJon & Vangelis名義で活動していて、その接点を考えると、Aphrodite's Childの存在感はバンド解散後にも続いている。
バンド解散後、Demis RoussosとVangelisはそれぞれソロ活動で成功を収めた。1977年にはRoussosのアルバム『Magic』の録音後に、再結成の可能性について話し合ったこともあったが、実現はしていない。
Aphrodite's Childを聴くなら、まず「Rain and Tears」で初期のヒット感を押さえて、そのあとで『666』まで進むと流れがつかみやすい。前半はポップ・ロックとしての聴きやすさがあり、後半は実験性の強い作品へ移っていくので、バンドの変化がそのまま追える。
ギリシャ出身のバンドが、パリを経由してヨーロッパのポップ・ロック史に名前を残し、最後にはプログレッシブ・ロックの文脈でも語られるようになった。その経歴自体がかなり独特だ。