Vinyl Record Reviews
Arcade Fireは、カナダ・ケベック州モントリオールを拠点に活動するインディー・ロック・バンドで、2001年に結成された。ロックを土台にしながら、複数のメンバーが楽器を持ち替え、編成の大きさを生かしたアンサンブルを組み立てるスタイルで知られている。メンバーにはWin Butler、Régine Chassagne、Richard Reed Parry、Jeremy Gara、Sarah Neufeld、Timothy Kingsburyらが名を連ねてきた。
バンドは2001年にモントリオールで始動した。中心人物のWin Butlerと弟のWill Butlerは音楽一家の出身で、祖父はジャズ・ミュージシャンのAlvino Reyだ。Alvino Reyは「モダン・エレキギターの生みの親」とも呼ばれ、Gibson初のエレキギターES-150に搭載されたピックアップの開発にも関わった人物として知られている。そうした背景を持つ兄弟が後にArcade Fireを率いることになった点は、バンドの来歴を語るうえでよく触れられる部分だ。
Arcade Fireの名前を広く知らしめたのが、2004年に発表されたデビュー・アルバム『Funeral』だ。タイトルは、レコーディング期間中にメンバーの近親者が相次いで亡くなったことに由来する。Régine Chassagneの祖母が2003年6月に、Win・William Butler兄弟の祖父であるAlvino Reyが2004年2月に、Richard Parryの叔母が同年4月に亡くなっており、バンドはその時期にこの作品を作り上げた。
作品名は重い印象を与えるが、実際のサウンドは哀しみを含みつつ、勢いのある演奏や合唱的な広がりも持っていると受け取られてきた。そうした対比は、Arcade Fireの音楽を語るときにしばしば挙がる要素だ。『Funeral』はカナダのMergeレーベルから2004年9月にリリースされ、批評家から高い評価を受け、バンドの国際的な突破口になった。
Arcade Fireの音楽は、インディー・ロックを基調にしながら、複数人のボーカル、弦楽器、鍵盤、打楽器を組み合わせた厚みのある編成が特徴だ。楽曲によっては、静かな立ち上がりから一気に音数が増える構成もあり、ライブでもその変化が前面に出やすい。ロック・バンドとしての骨格は保ちながら、室内楽的な要素や合唱のような広がりを取り込んでいる点が、このバンドらしさとして挙げられる。
Arcade Fireは、公式サイトや各種SNSを通じて継続的に情報を発信してきた。公式サイト、Facebook、Instagram、Twitter、SoundCloudなどの各プラットフォームが確認でき、作品発表や活動の動きを追いやすい体制が整っている。バンドの情報はWikipediaやGeniusのアーティストページなどでも整理されている。
インディー・ロックの文脈で語られることが多い一方で、Arcade Fireはバンド編成の人数や楽器構成、歌の重ね方によって、単純なギター・ロックとは少し違う質感を作ってきた。『Funeral』以降も、その作り方がバンドの印象を支えている。
まずは『Funeral』から入ると、Arcade Fireの特徴がつかみやすい。喪失を背景にしたアルバムでありながら、音の運びは停滞せず、曲が進むにつれて演奏が大きくなっていく場面が多い。バンドの出自、編成、デビュー作の背景を知ってから聴くと、楽曲の組み立てがより見えやすくなる。
ロックの力強さと、複数人で作るアンサンブルの密度を両立させてきたバンドとして、Arcade Fireは今もインディー・ロックの重要な名前のひとつに置かれている。