Vinyl Record Reviews
Belle & Sebastianは、1996年1月にスコットランド・グラスゴーで結成されたインディーポップ・バンドだ。ジャンル表記としてはRock、Popに加えて、Indie Pop、Indie Rockが挙げられている。中心人物はスチュアート・マードックで、現在のメンバーにはIsobel Campbell、Chris Geddes、Richard Colburn、Stevie Jackson、Dave McGowan、Sarah Martin、Mick Cooke、Bob Kildea、Stuart Davidの名前が並ぶ。
バンド名は、フランスの児童文学「Belle et Sébastien」に由来する。この作品は、少年セバスチャンとピレネー山脈の犬ベルを描いた物語で、フランスでは1960年代後半にテレビシリーズとして親しまれ、その後1970年代初頭には国際的にも知られるようになった。
ウェブ検索で確認できる情報では、スチュアート・マードックは19歳の頃に筋痛性脳脊髄炎(ME/慢性疲労症候群)を発症し、大学を中退したあとも体調不良が続いていた。療養生活の中で曲作りだけは続けられたとされ、本人はそれを自分にとって価値のあることだったと振り返っている。
その後、教会のホールの上で暮らしながら管理人として働き、キッチンで賛美歌を口ずさむうちに教会の礼拝に通うようになったというエピソードも残っている。1995年初頭までに体調が回復し、共に演奏する仲間を探し始めたことが、Belle and Sebastian結成の流れにつながった。
1996年1月、マードックはグラスゴーのStow Collegeの音楽ビジネス講座に在籍しており、最終課題としてバンドを組んでレコードを作ることを決めた。講師のアラン・ランキンとデモ音源を制作したところ、同校のレーベルElectric Honeyから評価され、通常はシングル1枚を制作するところ、異例のフルアルバム制作が認められた。
こうして完成した1stアルバムが『Tigermilk』だ。1996年6月に発表され、当初は1000枚限定でのリリースだった。その後、1999年にJeepster Recordsから再発されている。
Belle & Sebastianの音楽は、インディーポップを軸にしながら、インディーロックの要素も持っている。歌ものとしての輪郭がはっきりしていて、メロディと歌詞の比重が大きい。編成としては複数のメンバーが関わる形で、楽曲ごとに楽器の役割が細かく分かれていく印象がある。
派手なロックサウンドを前面に出すタイプというより、楽曲の構成、歌の運び、アレンジの積み重ねで聴かせるバンドとして知られている。作品ごとにサウンドの置き方は変わるが、歌を中心に据える姿勢は一貫している。
2014年10月には、それまでの11枚のリリースがまとめて再発されている。再発シリーズのタイトルは、同名曲に由来するものが使われた。こうした形で過去作が整理されている点からも、初期作品を含めたカタログ全体が継続的に参照されてきたことがわかる。
2015年のアルバム『Girls in Peacetime Want to Dance』では、「Nobody's Empire」が収録された。この曲は、診断から28年を経ても続く強い疲労感や体の痛みと向き合う自身の体験を歌ったものとして知られている。マードックの闘病経験が、後年の楽曲にも直接つながっている。