Vinyl Record Reviews
Cadenceは、1984年にDJ/プロデューサーのPaul & Peter Micioniによって組まれたプロジェクトだ。メンバーは、ギタリストのCarlo Pennisi、ドラマーのAgostino Marangolo、そしてヴォーカルのDianne Cobbの3人で構成されている。活動期間は長くなく、アルバムも1作のみを残して解散している。
中核を担ったCarlo PennisiとAgostino Marangoloは、いとこ同士でもあり、1970年代初頭のイタリアン・プログレッシブ・ロックの流れで一緒にキャリアを始めた。二人は1971年にシチリアでFlea On The Honeyを結成し、その後はFlea名義でも活動している。
この時期の彼らは、英語名を使って英語詞のハード・ロックを演奏するなど、当時のイタリアのロックシーンらしい動きも見せていた。その後、PennisiとMarangoloはGoblinのメンバーとしても活動し、イタリアのプログレッシブ・ロック史に名前を残している。
Cadenceでは、そこに実力派ヴォーカリストのDianne Cobbが加わり、3人編成のプロジェクトとして形になった。
Cadenceのサウンドは、Electronic、Rock、Pop、Jazz、Funk / Soulの要素をまたいでいる。スタイルとしてはSynth-pop、Jazz-Rock、Rhythm & Blues、Italo-Discoが挙げられている。
ウェブ上の情報では、シンセポップを軸にしながら、ジャズ・ロック由来の演奏感や、R&B、イタロ・ディスコの感触が同居していたとされる。PennisiとMarangoloが持っていた70年代イタリアン・プログレ由来の経歴が、単なるダンス・ポップとは少し違う作りに結びついている印象がある。
Cadenceは短期間で解散したため、オリジナル作品は実質的に唯一のアルバムに集約されている。プロデュースはPaul & Peter Micioniが担当した。
この1枚には、3人の経歴がそのまま反映されたような構成があり、シンセ主体のポップ・サウンドの中に、ギターとドラムの演奏経験がはっきり残っている。派手に活動を広げたグループではないが、残された録音をたどると、70年代プログレ経験者が80年代半ばの音楽文脈に入ったときの動きが見えてくる。
Cadenceは、活動期間こそ短いものの、メンバーの来歴とサウンドの組み合わせがはっきりしているユニットだ。80年代のシンセ・ポップとして聴くこともできるし、イタリアン・ロックの流れの延長で追うこともできる。