Cadence - Cadence (1984)
Cadence 1984

Cadence - Cadence (1984)

Electronic Rock Pop Jazz Funk / Soul Synth-pop Jazz-Rock Rhythm & Blues Italo-Disco

Cadence『Cadence』について

Cadenceの『Cadence』は、1984年に生まれた作品で、フィンランド盤は1985年にPolarvoxから出た。70年代イタリアン・プログレッシブ・ロックやジャズ・ロックの系譜にいたCarlo PennisiとAgostino Marangoloが、80年代半ばにシンセポップ/イタロ・ディスコの方向へ軸足を移して組んだプロジェクトとして知られる。そこにDianne Cobbのボーカルが加わり、当時のダンス・ミュージックの文法に寄せた1枚になっている。

バンドの成り立ち

中心にいるPennisiとMarangoloは、いずれもイタリアの70年代シーンで経験を積んだミュージシャンで、Flea On The Honey、Flea、Etnaといったバンドを経てきた経歴を持つ。MarangoloはGoblinへの参加歴でも知られ、PennisiもLibraやMediterraneo、New Perigeoなどを渡り歩いてきた人物だ。そうした背景を持つ2人が、Dianne Cobbを迎えてCadenceを結成した、という流れはかなりはっきりしている。

この作品は、そうした前歴をそのまま引きずるというより、80年代中盤の空気に合わせて再構成した記録として聴こえる。演奏の輪郭は整っていて、ギターやドラムの手触りにはロック由来の堅さが残る一方、全体の設計はシンセやリズム・マシンの感覚に寄っている。プログレ畑の人脈から出てきた作品でありながら、長尺の展開や複雑な構成を前面に出すタイプではない。

プロデュースと80年代イタロ・ディスコの文脈

プロデュースはPaul & Peter Micioni兄弟。Gazeboの「Masterpiece」やGary Lowの「You Are A Danger」を手がけたことで知られるチームで、イタロ・ディスコ黄金期の中心にいた存在だ。Cadenceの音像にも、その系譜がはっきり見える。曲はビートを軸に進み、ボーカルとシンセの配置もダンス・フロアを意識した作りになっている。ロックの出自を持つ演奏陣と、イタロ・ディスコの制作陣が組んだことで、ジャンルの境目に立つような仕上がりになっている。

この時期のイタロ・ディスコには、歌ものとしてのキャッチーさと、機械的なリズムの推進力を両立させた作品が多い。Cadenceもその文脈に置くと見えやすい。一般的なディスコの華やかさだけでなく、ジャズ・ロック出身者らしい演奏の芯が残っている点が特徴だ。派手な転調や技巧を誇るより、一定のグルーヴを保ちながら曲を押し出していく作り。

作品の位置づけ

Cadenceとしての活動はこの1枚だけで終わっており、アルバム単位で見るとかなり限定的な記録になる。だからこそ、これはバンドの代表作であると同時に、80年代半ばのイタリア系ダンス・ポップと、70年代プログレ/ジャズ・ロックの接点を示す資料のような存在でもある。PennisiとMarangoloのキャリアを知っていると、ここでの方向転換はかなり鮮明だ。

一方で、完全に別物へ振り切ったわけでもない。ギターのフレーズやドラムの置き方には、演奏者としての蓄積がそのまま残っている。そこにDianne Cobbのボーカルが入ることで、硬さだけではない歌ものとしてのまとまりが出ている。実際に聴くと、70年代のバンド・サウンドを知る耳には少し意外で、同時に80年代の制作感にきれいに収まっている印象がある。

フィンランド盤について

今回のフィンランド盤はPolarvoxからのリリースで、レーベル表記やクレジットには1985年の記載が見える。オリジナルが1984年の作品であることを踏まえると、この盤は翌年の流通盤として見るのが自然だ。裏ジャケットやレーベル面には、Produced for Concorde Records、℗ 1985 Cat Records / Polarvox Oy といった表記があり、当時の欧州圏での展開の一端がうかがえる。

収録曲ごとの大きなヒット曲については、この盤単体では広く知られた代表曲が前面に立つタイプではない。ただ、Cadenceという名義そのものが、80年代イタロ・ディスコの周縁で発掘される一枚として語られている。プログレ系の過去作と並べると、演奏の質感と時代の合わせ方の違いが見えやすい。

まとめ

『Cadence』は、イタリアン・プログレ出身のベテラン2人が、80年代のイタロ・ディスコ/シンセポップの流れに乗って残した1枚。Jazz-Rock、Funk / Soul、Pop、Electronicといった要素が混ざっているが、中心にあるのはダンス志向の歌ものとしての設計だ。70年代と80年代、演奏と制作、ロックとディスコの間に置かれた作品として、静かに存在感を持つアルバムになっている。

トラックリスト

  1. A1 Starting Out 4:54
  2. A2 It's Over 6:05
  3. A3 Looking For Love 4:18
  4. A4 Do It 4:54
  5. B1 Get Started 5:38
  6. B2 Back On Love 4:10
  7. B3 Cos It's You 5:19
  8. B4 What's It Gonna Be 4:29

動画プレイリスト

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