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Carmenは、1970年から1975年まで活動した英米混成のロック・バンドだ。メキシコ系アメリカ人でフラメンコ・ギターを学んだデイヴィッド・クラーク・アレンを中心に結成され、フラメンコの音楽や舞踊をプログレッシブ・ロックの編成に組み込んだことで知られている。
バンドはロサンゼルスで始動した。メンバーには、アレンの妹アンジェラ・アレン、スペイン出身のロベルト・アマラル、英国生まれのベーシスト、ジョン・グラスコックらが集まった。初期は7人編成で、1973年1月にロンドンへ拠点を移した後は5人編成に落ち着いていく。
この編成の時点で、ロックのバンドというより、フラメンコの要素を持つ演奏集団としての性格がかなりはっきりしている。メンバーそれぞれが演奏だけでなく、踊りや舞台表現も担っていた。
Carmenの音楽は、英国的なプログレッシブ・ロックと、スペインの伝統的な民俗音楽やフラメンコを結びつけたものだ。ギターを中心に据え、キーボードは控えめに使われることが多い。ロックの楽器編成の中に、フラメンコのリズムや旋律が入ってくる形で、他のバンドとはかなり違う手触りになっている。
ライブでは長いインストゥルメンタル・パートの中で、メンバー自身がステージ上でフラメンコを踊り、その足踏みの音を演奏の一部として取り込んでいた。この点はCarmenを語るうえで外せない特徴だ。
1973年の1stアルバム『Fandangos in Space』は、トニー・ヴィスコンティがプロデュースを担当した。後年、この作品はローリング・ストーン誌の「歴代プログレッシブロック名盤50選」で46位に選ばれている。プログレ界隈では、今でも名前が挙がる作品のひとつだ。
紹介文などでは、Jethro Tullや、スペイン色の強いプログレ・バンドとしてMezquita、Trianaとの比較が出ることがある。ただ、Carmenはフラメンコの舞踊まで含めてバンドの表現にしていたので、単純に音だけで並べると少し見えにくい部分もある。
1973年にロンドンへ拠点を移した後、Carmenはデヴィッド・ボウイとも親交を深めた。ボウイのテレビ・スペシャル『1980 Floor Show』に出演したことで、国際的な知名度を得るきっかけになった。
ロンドン移転後の活動は、英国のプログレ・シーンとの接点を強める流れでもあった。英米混成という出自も含めて、Carmenは当時のロックの境界をまたぐ存在だった。
この中では、ジョン・グラスコックが後にJethro Tullへ加入したことでも知られている。CarmenがJethro TullのWar Childツアーで前座を務めた際、イアン・アンダーソンと知り合ったことが、その後の加入につながった。
バンドは1975年に解散した。ジョン・グラスコックは1976年にJethro Tullへ加入したが、1979年に28歳で亡くなっている。先天性の心臓弁欠損症が、虫歯由来の感染症で悪化したことが原因とされている。
Carmenを聴くときは、ロックの曲として追うだけでなく、フラメンコのリズム、踊り、足踏みの音がどう組み込まれているかを見ると面白い。ギター主体の編成の中で、スペイン系の要素がどの場面で前に出るかを意識すると、このバンドの個性が分かりやすい。
プログレッシブ・ロックの文脈で語られることが多いけれど、Carmenはその中でもかなり特定の文化要素を強く持ち込んだグループだ。音だけでなく、ステージ全体の見せ方まで含めて記憶されているバンドである。