Vinyl Record Reviews
Castは、1993年にリヴァプールで結成されたイングランドのロックバンドだ。中心人物は、元The La’sのベーシストだったJohn Powerと、Shack出身のベーシストPeter Wilkinson。リヴァプールの音楽シーンで活動してきたメンバーが集まって始まったバンドで、地元では「スーパーグループ」的な見方もされてきた。
Castは1995年にデビュー・アルバム『All Change』を発表した。この作品はUKアルバムチャートで7位を記録し、「Alright」「Sandstorm」「Finetime」「Walkaway」の4曲がトップ20入りしている。セールスは100万枚を超え、Polydorにとって歴代最速で売れたデビュー・アルバムになったとされる。The Who、Jimi Hendrix、The Jamといった同レーベルの大物アーティストの記録も上回ったという。
その後も1993年から2002年にかけて、ブリットポップ期をまたいで4枚のアルバムをリリースした。活動停止の理由としては、過剰な報道や制作面での圧力が挙げられている。2010年には結成記念ツアーのために再結成し、その流れで5作目のアルバム制作につながった。5作目はオンライン・キャンペーンも使って資金を集めた。
Castの音楽は、Rockを軸にしたIndie Rock、Alternative Rock、Britpopに分類される。特に『All Change』では、メロディーのはっきりした曲作りと、ギターを前に出したバンドサウンドが目立つ。ウェブ上の情報では、マージーサイドらしいメロディアスなブリットポップを体現したバンドとして扱われている。
「Finetime」や「Alright」のような楽曲は、ブリットポップ全盛期に登場したタイミングも含めて注目を集めた。曲の構成は比較的わかりやすく、シングルでの存在感が強い。John Powerのボーカルとギターを軸に、Liam Tysonのギター、Peter Wilkinsonのベース、Keith O'Neillのドラムがバンドの基本形になっている。
John Powerは元The La’sのメンバーで、Peter WilkinsonはShack出身だ。どちらもリヴァプールのバンド・シーンで経験を積んでおり、Castの出発点にはその背景がそのまま反映されている。The La’sの制作遅延やその周辺の事情から離れる形で始まった、というプロフィールも残っている。
Britpop期のバンドとして語られることが多い一方で、デビュー作の商業的な強さや、再結成後の活動まで含めると、単に90年代の流行に乗っただけのバンドではない。リヴァプール由来のメロディー感と、ギター主体のロックを組み合わせたグループとして見ておくと整理しやすい。