Vinyl Record Reviews
Cristinaは、1956年1月17日生まれのアメリカ人シンガー/ライターで、2020年3月31日に亡くなった。フランス人の精神分析医を父に、アメリカ人の挿絵画家・小説家・劇作家を母に持ち、ハーヴァード大学を中退したあと、Village Voiceのフリーライターとして活動していた。
音楽活動では、ZEレコード周辺の動きと強く結びついている。後に夫となるマイケル・ジルカと出会ったのもその時期で、ジルカはミシェル・エステバンとともにZEレコードを立ち上げたばかりだった。Cristinaはジルカに勧められる形で、ハーヴァード時代の同級生ロナルド・メルローズが書いた「Disco Clone」を録音し、これがZEレコードの最初のリリースになった。初回盤はジョン・ケイルのプロデュースで、後年の別ヴァージョンにはケヴィン・クラインがクレジットなしで参加している。
Cristinaの代表的な録音は、1984年の2ndアルバム『Sleep It Off』だ。この作品はドン・ウォズがプロデュースを担当し、ザ・ナックのダグ・フィーガーらとの共作曲も収録している。商業的には大きく広がらなかったが、後年になってカルト的な人気を集めた。
このアルバムを最後に、Cristinaは歌手活動から退いた。引退後はジルカとともにテキサス州へ移住し、1990年の離婚後にニューヨークへ戻っている。その後はTimes Literary Supplement、Tatler、London Literary Reviewなどに書評や映画評を寄稿し、文筆家として活動した。
Cristinaの音楽は、ジャンル表記としてはElectronic、スタイルとしてはDiscoに分類される。とくに「Disco Clone」や『Sleep It Off』では、ディスコのフォーマットを使いながら、都会的な退廃や軽い皮肉を含んだ歌い方が目立つ。ウェブ情報でも、『Sleep It Off』はシニカルな作風を保ったまま、1980年代前半の空気を反映した作品として扱われている。
代表曲としては「What's a Girl to Do?」がよく挙げられる。『Sleep It Off』の中でもこの曲は後年評価が高まり、Cristinaを語るうえで外せない1曲として見られている。
Cristinaは、ジョン・ケイルによるプロデュース、ZEレコードの立ち上げ、ケヴィン・クラインの参加など、周辺人物の動きも含めて語られることが多い。作品数は多くないが、レーベル初期の重要な記録に関わり、80年代のニューヨーク周辺の音楽シーンと接点を持っていた。
活動期間は長くないものの、録音作品と文筆活動の両方で名前が残っている。音楽面では『Sleep It Off』が再評価され、ライターとしては音楽以外の書評・映画評でも足跡を残した。