Vinyl Record Reviews
Curved Airは、1970年にイギリスで結成されたプログレッシブ・ロック・バンドだ。現在も活動を続けている。中心メンバーは、ヴォーカルのSonja Kristina、ヴァイオリンのDarryl Way、キーボードのFrancis Monkman、ドラムのFlorian Pilkington-Miksaらで、初期から編成の個性がはっきりしている。
バンド名は、ミニマル音楽の作曲家Terry Rileyの楽曲「A Rainbow in Curved Air」に由来する。名前の出どころからも、単なるロック・バンドではなく、当時の実験音楽や前衛的な感覚を取り込んでいたことがうかがえる。
1970年11月に発表されたデビュー・アルバム『Air Conditioning』は、全英チャート8位を記録した。この作品は、透明ビニールにジャケット・アートワークを封入したピクチャー・ディスク仕様で発売され、ロック・バンドの作品として商業流通した世界初のピクチャー・ディスクとされている。初回1万枚という形で出たことも、当時の注目点のひとつだった。
一方で、透明盤は静電気の影響を受けやすく、通常の黒盤に比べて音質面では不利だったという評価もある。作品そのものだけでなく、盤の仕様まで含めて話題になったバンドだ。
Curved Airの音楽は、ヴァイオリンとヴォーカルを軸にした構成が特徴だ。ロックの基本編成に加えてヴァイオリンが前に出ることで、ギター中心のプログレとは少し違う聴こえ方になる。
1971年のシングル「Back Street Luv」はヒットしており、続く『Second Album』『Phantasmagoria』(1972年)では、アコースティックな要素とプログレッシブ・ロックを組み合わせた作りを深めていった。演奏の組み立てと曲の展開に重点を置くタイプのバンドとして、初期から独自の位置を作っている。
Curved Airには、後にThe Policeを結成するStewart Copelandが関わっている。Copelandは、Curved Airのマネージャーを務めていた兄Milesの紹介で、1975年の再結成ツアーにローディーとして参加したあと、正式なドラマーとして加入した。
彼は『Midnight Wire』『Airborne』の2作をレコーディングしている。この経験が、ツアーやレコーディング、音楽業界の現場を知るきっかけになり、1976年末のThe Police結成へつながっていく。
メンバーにはほかにも、Eddie Jobson、Tony Reeves、John G. Perry、Mike Wedgwood、Robert Martin、Chris Harris、Kirby Gregory、Graham Gregoryなどの名前が並ぶ。時期によって編成が変わりながら活動を続けてきたバンドだ。
Curved Airは、1970年代初頭の英国プログレの中でも、ヴァイオリンを前面に出した編成と、実験的な要素を含む楽曲づくりで知られている。デビュー作のパッケージ仕様や、Stewart Copelandの在籍歴も含めて、音楽面と周辺史の両方で名前が残っている。
公式サイトや各種アーカイブでも活動が確認でき、長く続く英国プログレの一組として参照されることが多い。
Curved Airを追うと、70年代プログレの中で、ヴァイオリンと女性ヴォーカルを中心にした組み立てがどこまで強い個性になるかが見えてくる。加えて、ピクチャー・ディスクの先例やStewart Copelandの経歴など、音楽史の細部にもつながっている。