Vinyl Record Reviews
Deee-Liteは、1986年にニューヨーク・ブルックリンのウィリアムズバーグで結成されたアメリカのハウス/クラブ・ダンス・グループです。メンバーは、Lady Miss Kier(Kierin Kirby)、Super DJ Dmitry(Dmitry Brill)、Jungle DJ Towa Towa(Towa Tei)の3人を中心に活動しました。後にDJ Ani(Ani Schempf)も加わっています。
グループ名でまず知られているのは、1990年のデビュー・アルバム『World Clique』に収録された「Groove Is in the Heart」です。サンプリングを使ったベースライン、Bootsy Collinsのボーカル、Q-Tipのラップを組み合わせたこの曲は、Deee-Liteの代表曲として広く知られています。
Deee-Liteは、Lady Miss Kierをボーカルに、クラシック・ギターの訓練を受けたDmitry Brillと、横浜生まれのTowa Teiという2人のDJを加えて始動しました。音楽面では、ハウス、テクノ、ラップ、アンビエント、ファンクを混ぜた作りで、ニューヨークのクラブ・シーンで支持を集めました。
ビジュアル面でも特徴があり、ロウアー・イースト・サイドのドラァグ・クイーン文化の影響を受けた派手なスタイルを打ち出していました。音楽と見た目の両方で存在感を出していたのが、このグループの大きな特徴です。
1990年に発表されたデビュー作『World Clique』は、クロスオーバー・ヒットとして注目されました。中でも「Groove Is in the Heart」は、Deee-Liteを代表する1曲として定着しています。サンプリングを前面に出した構成で、ファンクやハウスの要素がはっきり出ています。
この時期のDeee-Liteは、ダンス・クラブ向けの楽曲を軸にしながら、ポップ・チャートでも一定の成果を残しました。アメリカのBillboard Hot Dance Club Playチャートでは、通算6曲の1位を記録しています。
1992年の2作目『Infinity Within』では、環境問題、安全な性、民主主義など、より直接的なテーマを扱うようになります。ダンス・ミュージックを土台にしつつ、メッセージ性を前に出した内容です。
1994年の『Dewdrops in the Garden』では、レイヴ文化の広がりを受けた作風が見られます。この時期にはDJ Aniが参加し、より官能的な方向へ寄ったと紹介されることもあります。Towa Teiはこのアルバム発表前に脱退しており、その後はソロ活動へ移っています。
Towa TeiはDeee-Lite脱退後、日本へ戻り、ソロ・アーティストとして活動を続けました。1994年の初ソロ・アルバム『Future Listening!』では、ボサノヴァ、ハウス、ジャズ、ポップスを組み合わせた作風を打ち出しています。参加者には野宮真貴、Bebel Gilbertoのほか、坂本龍一と細野晴臣も名を連ねています。
その後も『Sound Museum』などで活動を重ね、Deee-Lite時代のダンス志向とは少し違う、実験的なエレクトロニック寄りの作品を発表しています。近年はMETAFIVEのメンバーとしても知られています。
Deee-Liteは、ハウスやファンクをベースにしながら、ラップやサンプリングを組み合わせたグループとして語られることが多いです。ニューヨークのクラブ文化と結びつきながら、人種や性別の境界をまたいだファン層を獲得した点も特徴です。
活動期間は長くありませんが、1990年代前半のクラブ/ダンス・シーンを語るうえで外せない存在です。特に「Groove Is in the Heart」は、Deee-Liteの名前を今も強く残している楽曲です。