Deee-Lite - World Clique (1990)
Deee-Lite『World Clique』について
Deee-Liteの『World Clique』は、1990年にUSのElektraから出たデビュー・アルバムである。Lady Miss Kier、Super DJ Dmitry、Towa Teiの3人を軸にしたこのグループは、ニューヨークのクラブ・シーンから現れ、ハウス、ファンク、ラップ、ディスコの要素を、当時のポップ・アルバムの枠にそのまま押し込んだような存在だった。本作はその入口にあたる1枚で、Deee-Liteという名前を広く知らしめた作品でもある。
まず耳に入るのは、曲の作りがかなり明快なことだ。クラブ由来のビートを土台にしつつ、ベースラインやリフ、コーラスの配置がはっきりしていて、アルバム全体が「踊れる曲集」としてまとまっている。単にダンスフロア向けの機能だけでなく、ラジオ向けの引っかかりも強い。1990年という時代の空気、つまりハウスがポップスの中心へ近づいていく流れを、そのまま作品の形にしたような内容である。
代表曲「Groove Is in the Heart」
このアルバムを語るうえで外せないのが「Groove Is in the Heart」だ。全米ビルボードHot 100で最高4位、Hot Dance Club Playでは1位を記録した大ヒットで、1990年の夏を象徴する曲として扱われてきた。楽曲はHerbie Hancockの「Bring Down the Birds」のベースライン、Vernon Burchの「Get Up」を下敷きにし、Bootsy Collinsのヴォーカル、さらに当時まだ新人だったQ-Tipのラップを載せた構成。サンプリングと生演奏の感覚が同居していて、ファンクの骨格がかなり前面に出ている。
実際に聴くと、冒頭からリズムの輪郭がはっきりしていて、音数が多いのに散らからない。Lady Miss Kierの声も、曲の中で前に出たり引いたりしながら、全体の流れを引っ張っていく。ヒット曲としての分かりやすさと、クラブ・トラックとしての推進力が両立しているあたりに、この曲の強さがある。
アルバムの位置づけ
『World Clique』は、Deee-Liteにとって最初の到達点である。デビュー作でありながら、すでにグループの個性がかなり固まっている。ニューヨークのダウンタウン・クラブを拠点に楽曲を試しながら蓄積し、メジャー・レーベル各社の争奪戦を経て作られたという背景も、この作品の密度につながっている。制作時には、コンピュータを使う音楽への偏見にも直面したようだが、完成したアルバムはそうした見方を跳ね返すだけの具体性を持っている。
参加ミュージシャンにも注目したい。Bootsy Collinsはデモを聴いて参加し、複数曲でベース、ギター、ワウ・ペダルを担当した。そのつながりからFred WesleyやMaceo Parkerらも参加しており、ファンクの系譜がアルバムの中に自然に流れ込んでいる。Deee-Liteの側はクラブ文化の出身だが、音の根っこには70年代ファンクの感覚がしっかりある。
同時代の文脈
1990年前後のUSポップスでは、ハウスやダンス・ミュージックがチャートへ深く入り込んでいた。Deee-Liteはその流れの中でも、単なるクラブ向けユニットではなく、視覚表現まで含めた強いキャラクターで目立っていた。Lady Miss Kierのファッション感覚、DmitryのDJ的な構成力、Towa Teiのセンスが合わさって、音だけでなくイメージ面でも印象が残る。比較対象としては、同時代のダンス・ポップ勢よりも、むしろファンクやヒップホップのサンプリング感覚を持ったアーティストに近い空気がある。
アルバム全体を見ると、「Groove Is in the Heart」だけの一発では終わっていない。ダンス・フロア向けの熱量を保ちながら、曲ごとに表情を変える構成で、デビュー作としての情報量がかなり多い。後年のDeee-Liteがより明確に政治性やメッセージ性を帯びていく前段階としても、この作品は重要な位置にある。
盤の仕様について
今回のUS盤はElektraの1990年リリースで、インナー・スリーブにはクレジット、歌詞、コミックが印刷されている。レーベルは1990年代初頭のElektraらしい赤黒系のデザインで、80年代後半から続くUS盤の流れの中にある。アルバム本編に加えて、見た目の情報量も当時のクラブ・カルチャーらしさを支えている。
まとめ
『World Clique』は、Deee-Liteがクラブの現場からポップ・アルバムへ飛び出した瞬間を記録した1枚である。大ヒット曲「Groove Is in the Heart」を中心に、ファンクの引用、ハウスの推進力、ヒップホップの感覚が、1990年の空気の中でうまく噛み合っている。デビュー作でありながら、すでにバンドの輪郭がはっきりしている点も印象的だ。ニューヨークのダンス・シーンとメジャー・ポップの交差点、その手触りが残る作品である。
トラックリスト
- A1 Good Beat 4:40
- A2 Power Of Love 4:40
- A3 Try Me On ... I'm Very You 5:14
- A4 Smile On 3:55
- A5 What Is Love? 3:38
- B1 World Clique 3:20
- B2 E.S.P. 3:43
- B3 Groove Is In The Heart 3:51
- B4 Who Was That? 4:35
- B5 Deep Ending 3:47
動画プレイリスト
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Deee-Lite- Deee-Lite Theme (World Clique)
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Deee-Lite- Power of Love (World Clique)
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Dee Lite - Try me on Im very you
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Deee-Lite- Smile On (World Clique)
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Deee-Lite- What Is Love? (World Clique)
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Deee-Lite- World Clique
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Deee-Lite- E.S.P. (World Clique)
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Deee-Lite- Who Was That? (World Clique)
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Deee-Lite- Deep Ending (World Clique)
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Deee Lite - Build The Bridge