Vinyl Record Reviews
Devoは、1970年代後半から1980年代前半にかけて広く知られたアメリカのニューウェーブ・バンドだ。ケント州立大学の美術学生だったマーク・マザーズボウとジェラルド・キャサル、ボブ・ルイスらの発想を起点に、1973年に前身の「Sextet Devo」として始まり、1974年に現在の名義へ改められた。
バンド名の核にあるのは「de-evolution(脱進化)」という考え方だ。人類は進化しているのではなく、むしろ退化している、という発想を音楽とパフォーマンスに落とし込んでいる。この考え方は、ケント州立大学銃撃事件を目撃したことが、キャサルとマザーズボウに強い影響を与えたことでも知られている。
Devoは1978年、ブライアン・イーノがプロデュースしたデビュー・アルバムでメジャー・デビューした。そこからワーナー・ブラザースやヴァージンと契約し、活動の幅を広げていく。
2作目の制作途中で、サウンドはギター中心からキーボード主体へと移っていった。ロバート・キャサルがキーボードに回り、ジェラルド・キャサルもシンセベースを担当する形になり、この路線がその後の代表曲につながっていく。
1980年の『Freedom of Choice』からの「Whip It」は大きなヒットになり、ビルボードで最高14位を記録した。MTVでもよく流れ、Devoの名前を広く知られるものにした。ここで使われるようになった赤い階段状のヘルメット「エナジー・ドーム」も、バンドの視覚的な印象を決める要素になった。
その後は商業的な浮き沈みやメンバーの入れ替わりが続き、1980年代後半に再始動、1990年代には再結成を挟みながら活動を継続した。2010年には9作目のスタジオ・アルバムも発表している。2014年にはロバート・キャサルが心不全で亡くなったが、その後もライブ活動は続いている。
Devoの音は、ニューウェーブやポストパンクの枠で語られることが多い。初期はギターを軸にしつつ、後年はシンセサイザーやキーボードの比重が大きくなり、機械的なリズムと整理されたフレーズが前面に出る。
演奏面では、ロボットのような動きや、意図的にぎこちない反復が目立つ。これは単なる演出ではなく、脱進化というコンセプトとつながっている。歌詞やステージングも含めて、社会や集団行動への風刺を組み込んだ作りになっている。
結成初期から現在までに多くのメンバーが関わっているが、中心にいるのはマーク・マザーズボウとジェラルド・キャサルだ。彼らが楽曲面とコンセプト面の軸を担ってきた。
Devoは、ニューウェーブを代表するバンドのひとつとして扱われている。音楽だけでなく、衣装、映像、ステージングまで含めた設計がはっきりしていて、その点が後続のアーティストにも参照されてきた。
特に「Whip It」やエナジー・ドームは、Devoを知らない人にも届く入口になっている。そこから入ると、単なるヒット曲のバンドではなく、社会風刺を軸にしたコンセプト・バンドとしての面が見えてくる。
ロックの文脈では、パンク以後の緊張感と、ニューウェーブ以後の機械的な質感をつなぐ存在として見られることが多い。ライブ活動を続けながら、独自の見た目と音を保ってきた点も、Devoの大きな特徴だ。