Vinyl Record Reviews
Dire Straitsは、1977年にロンドンで結成されたイギリスのロック・バンド。マーク・ノップラー、デイヴィッド・ノップラー、ジョン・イルスレー、ピック・ウィザースの4人から始まり、1988年に一度解散したあと、1991年に再結成され、1995年に再び活動を終えている。
結成当初の中心は、リード・ギターとボーカルを担ったマーク・ノップラー。デビュー後はメンバー交代を重ねながら活動を続け、アルバムごとに編成も変化していった。フルタイムのメンバーとしては、ジョン・イルスレー、アラン・クラーク、ガイ・フレッチャー、デイヴィッド・ノップラー、ピック・ウィザース、テリー・ウィリアムズ、ジャック・ソニ、ハル・リンドスらが参加している。
1988年にいったん解散し、その後1991年に再結成。1995年に再び解散しているので、活動期間は長い一方で、バンドとしては節目がはっきりしたグループでもある。
Dire Straitsを語るうえで外せないのが「Sultans Of Swing」。この曲は、マーク・ノップラーが1977年ごろにロンドン南部の閑散としたパブで、実在のジャズ・バンド「サルタンズ・オブ・スウィング」を見かけたことが着想のもとになったとされている。大げさなバンド名と、客の少ない店の対比がそのまま曲の題材になった形だ。
5曲入りのデモテープがBBCラジオ・ロンドンのDJ、チャーリー・ジレットの耳に留まり、そこからオンエアにつながったことがレコード契約のきっかけになった。リリース直後に大きく売れたわけではなく、半年ほどしてアメリカのラジオで広がり、英米をはじめ各国のチャートで上位に入るヒットになっている。
ジャンルとしてはロックに分類され、スタイル面ではポップ・ロック、クラシック・ロックの要素が強い。演奏面では、マーク・ノップラーのギター・プレイと歌がバンドの中心になっている。テクニカルな速弾きよりも、音の置き方やフレーズの運びで曲を進めるタイプの演奏が目立つ。
編成としては、ギター、ベース、ドラムに加えてキーボードやシンセサイザー、サックス、パーカッションなども曲ごとに取り入れている。アルバムやツアーでは、アラン・クラークやガイ・フレッチャーが鍵盤を支え、メル・コリンズやクリス・ホワイトのサックス、フィル・パーマーのギターなど、サポート陣も加わっている。
1985年の5作目『Brothers In Arms』は、Dire Straitsの名前を大きく広げた作品として知られている。世界で2500万枚以上を売り上げ、1980年代の英国で最も売れたアルバムになったとされる。この作品は、CDの売上がアナログ盤を上回った最初期の大きな例としても扱われていて、100万枚を超えるセールスを記録した最初のCDのひとつでもある。
収録曲「Money For Nothing」は、コンピューターグラフィックスを使ったミュージックビデオでも注目された。MTVで頻繁に流れ、全米ビルボード・ホット100で3週連続1位を記録。1986年のグラミー賞では最優秀ロック・パフォーマンス(デュオ/グループ)を受賞している。
Dire Straitsは、70年代後半から80年代にかけて、ラジオ、MTV、そしてCDの普及と結びつきながら広がっていったバンドだ。特に「Sultans Of Swing」と『Brothers In Arms』の成功は、楽曲単位のヒットとアルバム単位の成功の両方で存在感を示している。
派手な装飾よりも、演奏と曲の構成で聴かせるタイプのロックを軸にしながら、時代のメディア環境にも乗って広まったグループとして見ると整理しやすい。ロックの中でも、ポップ・ロック寄りの聴きやすさと、クラシック・ロックとしての定番感を両方持ったバンドだ。