Vinyl Record Reviews
Eloiteronは、スイス・チューリッヒで結成されたロック・バンドで、メンバーにはChristian Frey、Michi Winkler、Dani Reimann、Harry Schärer、Martin Frey、Stefan Freyが参加していた。ジャンルはロックで、プログレ・ロックとシンフォニック・ロックの要素を軸にしたバンドとして知られている。
ウェブ上で確認できる情報では、Eloiteronは1981年に唯一のアルバム『Lost Paradise』を発表し、1984年に解散した。活動期間は長くないが、後年になって再評価が進んでいるバンドでもある。
2013年には、日本のBelle Antiqueレーベルから『Lost Paradise』がリマスター盤としてCD化された。これによって、長く入手しづらかった作品が再び聴けるようになり、欧州のシンフォニック・ロック愛好家やメロトロン・ファンの間で注目が集まった。
Eloiteronの音は、鍵盤楽器を中心に組み立てられている。メロトロン、シンセサイザー、ストリングス・アンサンブルが前に出ていて、そこにフルート、トランペット、ソプラノサックスなどの管楽器が加わる。編成の時点で、ギター主体のハードロックとはかなり違う作りになっている。
楽曲は、70年代プログレの語法を土台にしながら、80年代らしい比較的コンパクトな構成でまとめられている。ヴォーカルよりもインストゥルメンタルの比重が高く、演奏面の聴きどころが多いタイプのバンドだ。
ギターには、ジェネシスのスティーヴ・ハケットを思わせるプレイがあるとされる一方で、やや不協和な響きを含むサウンドも取り入れている。クラシカルな鍵盤の運びと、少し緊張感のあるギターの組み合わせが、このバンドの個性になっている。
同じスイス出身のプログレ・バンド、Flame Dreamと比較されることが多い。どちらもスイス産のシンフォニック・ロックとして語られやすいが、Eloiteronは鍵盤とブラスの比重が大きく、より管弦楽的な編成が目立つ。
また、ドイツのロックを思わせる感触があるという見方もある。ここでは、英米のプログレとは少し違う、ヨーロッパ大陸側のロックらしい作りが意識されている。
活動当時は広く知られた存在ではなかったが、『Lost Paradise』の再発以降、シンフォニック・ロックやメロトロン系のリスナーの間で聴かれる機会が増えている。アルバム1枚だけを残して消えたバンドとして、作品単位で評価されている印象が強い。
Eloiteronを追うなら、まずは『Lost Paradise』から入るのが自然だ。鍵盤主体のアレンジ、管楽器の使い方、そして70年代プログレを80年代の制作感覚でまとめた音作りが、このバンドの基本線になっている。