Vinyl Record Reviews
Eric B. & Rakimは、ニューヨーク州ロングアイランド出身のヒップホップ・デュオだ。DJのEric Barrierと、MCのRakim William Michael Griffin, Jr.によるユニットで、活動期間は1986年から1993年まで、その後2018年に再結成している。ジャンルはHip Hopで、スタイルとしてはBoom BapやConsciousに位置づけられる。
1986年のデビュー・シングル「Eric B. Is President」は、ジェームス・ブラウンの「Funky President」をサンプリングしたことで知られている。この時期のヒップホップでは、サンプリングの使い方が発展していく途中だったが、この曲はその流れを強く印象づける作品のひとつとして扱われている。
続く1987年のデビュー・アルバム『Paid in Full』は、70年代ファンクのブレイクとエレクトロニックなビートを組み合わせたプロダクションで評価が高い。Rakimのラップは、内在韻を多用した緻密なフロウが特徴で、それまでの単純な脚韻中心のラップとは違う書き方を見せた作品として語られている。
Rakimのスタイルは、韻の配置を細かく組み立てる点に特徴がある。内在韻を使って言葉を重ねるやり方は、ヒップホップのラップ表現を広げた要素として見られている。『Paid in Full』では、その書き方とEric B.のビートが噛み合っていて、アルバム全体の軸になっている。
プロダクション面では、ファンク由来のブレイクとシンプルな電子音のビートを組み合わせている。派手さを前面に出すというより、ラップの言葉数やリズムがはっきり伝わる作りになっている。
表題曲「Paid in Full」は、イギリスのプロデューサー・デュオColdcutによるリミックス「Seven Minutes of Madness」でも知られている。このリミックスは、ジェームス・ブラウンの「Hot Pants」などをサンプリングして独自の展開を加えたもので、アメリカ本国とは別に英国のハウス/ブレイクビーツ・シーンでも人気を得た。
そのため、「Paid in Full」は原曲だけでなくリミックス版の存在でも広く知られている。ヒップホップの楽曲が別のクラブ・カルチャーにも届いた例としても重要な位置にある。
Eric B. & Rakimの影響は、特にRakimのラップの書き方に強く表れている。NasやJay-Zをはじめとする後続のMCたちに大きな影響を与えたとされている。ラップを単純な押韻の連続ではなく、複雑な韻律構造を持つ表現へ押し広げた点が、彼らの評価につながっている。
ヒップホップのサンプリング文化についても、初期の段階で重要な役割を果たしたデュオとして見られている。特に「Eric B. Is President」と『Paid in Full』の流れは、80年代後半以降のヒップホップを考えるうえで外せない。
関連サイトとしては、公式サイト http://www.ericbnrakim.com/ と、参考情報として Wikipedia がある。