Vinyl Record Reviews
Foalsは、2005年にイングランドのオックスフォードで結成されたロック・バンドだ。中心メンバーのYannis Philippakis(ボーカル/ギター)とJack Bevan(ドラム)は、もともとThe Edmund Fitzgeraldで活動していて、そこからより衝動的でダンサブルな方向へ向かう形でFoalsを始めたとされる。Transgressive Recordsと契約し、2008年にデビュー作『Antidotes』を発表した。
『Antidotes』は全英チャート3位を記録した作品で、キレのあるギターの絡み合い、ポリリズム、鋭いアタック感のある演奏が目立つ。マスロック寄りの組み立てを持ちながら、リズムの推進力が強く、当時の英インディー・シーンの中でもかなりはっきりした個性を持っていた。
この時期のFoalsは、複雑なリフや変則的なビートを前面に出しつつ、踊れる感覚も落とし込んでいて、The Edmund Fitzgerald時代の流れを踏まえながらも、別の方向に進んでいることが分かる。
アルバムを重ねるごとに、Foalsはサウンドの幅を広げていった。初期のマスロック的な要素を残しながら、曲のメロディやスケール感を強め、よりスタジアム映えする作りへ移っていく。リズムの細かさはそのままに、フックのある展開や大きなサビを持つ楽曲が増えていった。
こうした変化の中でも、ギターの細かな動きやドラムの推進力はバンドの軸として残っている。インディー・ロックをベースにしながら、ファンク由来のノリやダンス・ロック的な要素が混ざっていく流れも見える。
2018年1月には、結成時からのベーシストWalter Gerversが脱退した。Foalsのベースラインはサウンドの重要な部分を担っていたので、この変化はバンドにとって大きかったはずだ。その後、残る4人はベースレスの編成で制作を進め、2部作のアルバム『Everything Not Saved Will Be Lost』(2019年)を発表した。
この作品では、ファンクの質感を取り入れながら、ディストピア的な世界観を反映した内容が展開されている。編成の変化をそのまま制作に反映させた形で、Foalsの次の段階を示す作品として扱われることが多い。