Vinyl Record Reviews
Frank Oceanは、アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のシンガーソングライターで、1987年10月28日生まれ。ジャンルとしてはPop、Hip Hop、Funk / Soulにまたがり、作風はContemporary R&Bに分類されることが多い。レーベルやメディアの枠にきれいに収まりきらない動き方でも知られていて、リリースの仕方そのものが話題になることも多いアーティストだ。
彼のキャリアで大きな転機になったのは、2005年のハリケーン・カトリーナだ。ニューオーリンズ大学在学中に被災し、自宅と自作の録音設備を失ったことが、その後の行動につながったとされる。2006年にはロサンゼルスへ移り、Lonny Breaux名義でゴーストライターとして活動。複数の著名アーティストに楽曲を提供しながら、制作の現場で経験を積んでいった。
2009年から2010年頃には、ロサンゼルス発のヒップホップ集団Odd Future(OFWGKTA)に合流。Tyler, the Creatorらとの交流を通じて、自身のアーティスト活動を本格化させていく流れになる。
2011年2月にはミックステープ『Nostalgia, Ultra』を無償公開した。ここで批評家から高い評価を受け、Frank Oceanの名前が広く知られるようになる。
2012年のデビュー・アルバム『Channel Orange』は、Billboard 200で最高2位を記録。グラミー賞では6部門にノミネートされ、「Best Urban Contemporary Album」と、Jay-Z、カニエ・ウェストらと参加した「No Church in the Wild」での「Best Rap/Sung Collaboration」の2部門を受賞した。
2016年には映像作品『Endless』を発表した翌日に、2作目のアルバム『Blonde』を独立リリースしている。『Blonde』は国際的にチャート1位を獲得し、評価をさらに固めた。なお、『Blonde』と『Endless』は、グラミーの評価姿勢への批判を背景に、自ら受賞対象から外す形を取っている。
Frank Oceanの音楽は、R&Bを軸にしながら、ソウル、ジャズ、エレクトロニックの要素を行き来する作りが特徴として語られることが多い。曲の構成や音の置き方も含めて、一般的なR&Bの型にそのまま当てはまらない部分があり、オルタナティブR&Bの先駆者として扱われてきた。
また、コンセプトを重視したリリース形態でも知られている。アルバム本編だけでなく、映像作品や公開の仕方そのものが作品の一部として受け止められることが多いのも、この人の活動の見え方の一つだ。
2012年7月、Tumblrで男性への恋愛感情を告白する手記を公開したことは、ヒップホップ業界における大きな話題になった。こうしたカミングアウトが広く報道されたことで、当時の業界の空気に変化を与えたと受け止められている。
2013年にはTime誌の「最も影響力のある100人」にも選出されている。音楽面だけでなく、発信の仕方や表現のあり方も含めて注目されてきたアーティストだ。