Frank Ocean - Blond (2016)
Frank Ocean 2016

Frank Ocean - Blond (2016)

Pop Hip Hop Funk / Soul Contemporary R&B

Frank Ocean『Blond』について

Frank Oceanの『Blond』は、2016年に登場した2作目のスタジオ・アルバムであり、本人のキャリアの中でも特に重要な位置を占める作品だ。アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれのシンガーソングライターとして知られるFrank Oceanが、前作『Channel Orange』から時間を置いて発表した本作は、R&Bを軸にしながらも、ヒップホップ、ソウル、ポップの要素を細かくつないでいく構成になっている。音の密度を上げて押し切るタイプではなく、声、間、短いフレーズ、断片的な展開で曲を進めていく作りが印象に残る。

このレコードはXL Recordingsから出た2016年盤で、物理盤としての『Blond』の初出にあたる。なお、盤面では「blond」と表記されているが、広くは『Blonde』として知られている。作品全体が一つの発表形態として扱われており、音楽だけでなく見せ方も含めて記憶されているアルバムだ。

作品の位置づけ

Frank Oceanにとって『Blond』は、単なる新作というより、前作以降の時間を経て自分の表現を更新した作品として受け止められている。『Channel Orange』で示したソングライティングの強さを保ちながら、ここでは曲の構造がよりほどけていて、歌詞も個人的な記憶、家族、喪失、過去への視線を追うように進む。アルバムとしての流れも、明確な盛り上がりを作るより、断片が連なって全体像を形づくるタイプだ。

聴き進めると、メロディーの輪郭ははっきりしているのに、編曲は必要以上に説明しない。ピアノ、ギター、シンセ、声の重なりが小さく配置され、曲の余白がそのまま意味を持っているように感じられる。R&Bの枠の中に収まりながら、ポップの聴きやすさと、実験的な構成が同居しているのがこの作品の特徴だろう。

収録曲と聴きどころ

代表曲としてまず挙がるのは「Nikes」だろう。アルバム冒頭から加工されたボーカルで始まり、Frank Oceanらしい距離感のある歌い方が前面に出る。「Ivy」や「Self Control」では、歌のメロディーと感情の揺れがそのまま曲の中心になっている。「Pink + White」にはBeyoncéが参加しており、クレジット面でも目を引く一曲だ。「White Ferrari」は、The Beatlesの「Here, There and Everywhere」の引用を含むことで知られ、旋律の運びにその影響が見える。

また、「Seigfried」ではElliott Smithの「A Fond Farewell」への言及があり、内省的なムードを強めている。「Futura Free」はアルバムの終盤を担う長めの曲で、会話や引用を含みながら、作品全体を静かに閉じていく流れだ。サンプルや引用の使い方も派手ではなく、曲の表面に溶け込む形で置かれている。

制作とリリースの背景

2016年の発表時、この作品はかなり独特な出し方をしたことでも話題になった。映像作品『Endless』の公開の直後に『Blond』が登場し、配信と物理盤、雑誌やウェブサイトを含めた一連の見せ方がひとまとまりで語られた。XL Recordings名義の流通も含め、当時のFrank Oceanが通常のアルバム発売の枠組みから少し距離を置いていたことがうかがえる。

このレコードの初期ロットには「Black Friday」ステッカー付きのものがあり、その後のバックオーダー対応分ではステッカーのないものが存在する。さらに、後発のコピーではスリーブ裏面にXL Recordings表記が入る仕様も見られる。Gatefold Sleeve仕様で、作品のパッケージ性を重視した作りになっている。

同時代の中での聴こえ方

2010年代半ばのR&Bは、従来の歌モノの形式だけではなく、ヒップホップ以降のサウンド感覚や、インディー・ロック寄りの質感も取り込みながら広がっていった。その中で『Blond』は、Kendrick LamarやJames Blake、The Weeknd周辺の動きとも並べて語られることが多い。とはいえ、この作品はビートの強さで押すというより、歌の断片と音の配置で引っ張る作りが中心で、同時代の中でもかなり個性がはっきりしている。

結果として『Blond』は、Frank Oceanの代表作としてだけでなく、2010年代のコンテンポラリーR&Bを語るうえで外しにくい一枚になった。チャート面でも強い動きを見せ、作品としての評価と商業的な存在感の両方を持つアルバムだ。静かな曲調の中に細かな引用やクレジットが多く、聴き込むほど輪郭が見えてくるタイプのレコードとして記憶されている。

トラックリスト

  1. A1 Nikes 5:14
  2. A2 Ivy 4:09
  3. A3 Pink + White 3:04
  4. A4 Be Yourself 1:27
  5. B1 Solo 4:17
  6. B2 Skyline To 3:05
  7. B3 Self Control 4:10
  8. B4 Good Guy 1:07
  9. B5 Night.s 5:07
  10. C1 Solo (Reprise) 1:19
  11. C2 Pretty Sweet 2:38
  12. C3 Facebook Story 1:09
  13. C4 Close To You 1:26
  14. C5 White Ferrari 4:09
  15. D1 Seigfried 5:35
  16. D2 Godspeed 2:58
  17. D3.1 Futura Free 9:24
  18. D3.2 Interviews

動画

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