Vinyl Record Reviews
Goatは、スウェーデンの実験的なフュージョン・ロック・バンドだ。サイケデリック・ロックを土台に、アフロビート、ハードロック、ジャズなどを混ぜたサウンドで知られる。拠点はヨーテボリで、バンド側の説明ではノッルボッテン県の村コルピロンボロに由来するという物語を持っている。
Goatは、コルピロンボロにいたヴードゥーに通じた呪術師の系譜や、村が十字軍に破壊されて呪いが残ったという設定を語っている。英国の音楽誌The Quietusは、この話を「素敵な物語だが、必ずしも現実に根ざしているとは限らない」と評している。バンドによれば、メンバーは子どもの頃から地域の伝統として演奏を始め、「30年か40年」のあいだに多くの編成を経てきたという。コルピロンボロ出身の3人の「コア」メンバーに、ヨーテボリの4人の演奏者がライヴで加わる7人編成とされ、The Quietusはコア・メンバーの一人としてChristian Johanssonに取材している。バンドは本名を公表せず、Goatman、Capra Informis、GÅSといった別名を使って活動している。
ライブでは仮面と衣装をまとい、女性ヴォーカル2人、ギター2本、エレクトリック・ベース、ドラム、コンガという編成で演奏する。2人のヴォーカリストは、儀式を思わせる場面で複雑なダンスも見せる。
2012年2月20日、限定7インチ・シングル「Goatman / The Sun the Moon」でデビューした。同年8月20日には、Stranded RekordsとRocket Recordingsから1stアルバム『World Music』をリリースしている。タイトルは、バンドが自分たちの音楽を「ワールド・ミュージック」だと考えていることに由来する。
冒頭曲「Diarabi」はマリのBoubacar Traoréの曲を取り上げたもので、アルバムの最後でも「Det som aldrig förändras / Diarabi」として再登場する。『World Music』はMetacriticで87点を記録し、The Guardianは5つ星を付けて「2012年最大のアンダーグラウンド・ロック・アルバムの一つ」と評した。Pitchforkも8.1点を付けている。スウェーデンのアルバム・チャートでは8位を記録した。オーストラリアのHappy Magは、2010年代のサイケデリック・ロック・アルバムのベスト25でこの作品を5位に選んでいる。
2013年にはライヴ盤『Live Ballroom Ritual』を発表し、アメリカ・ツアー、グラストンベリー・フェスティバル、キャンバー・サンズで開かれた最後のホリデー・キャンプ版All Tomorrow's Partiesへの出演も行っている。2014年の2作目『Commune』からは、北米でSub Popが発売を担当するようになった。『Commune』はスウェーデン17位、全英47位を記録した。
2014年はコーチェラとラティテュード、2015年はグラストンベリー、ロスキレ、プッケルポップに出演している。2016年の3作目『Requiem』は、バンド自身が「フォーク・アルバム」と呼んだ作品で、アコースティック寄りの落ち着いた内容で、13曲を収録している。全英49位を記録した。2016年にはバルセロナのプリマヴェーラ・サウンドやエンド・オブ・ザ・ロード・フェスティバルにも出演した。
2017年にはライヴ盤『Fuzzed in Europe』を発表し、2017年の英国ホラー映画『Double Date』のサウンドトラックも担当した(2018年に10インチで発売)。映画にはカメオ出演もしている。2018年6月5日には、ヨーテボリのウッレヴィ・スタジアムでフー・ファイターズの前座を務めた。2018年のシングル「Let It Burn」は、英国の番組『The Grand Tour』や米ドラマ『Mayfair Witches』で使用された。「Run to Your Mama」はポッドキャスト『Crimetown』シーズン1のテーマ曲になっている。
2021年には未発表曲、初期シングル、B面をまとめた『Headsoup』を発表し、全英48位を記録した。2022年10月には『Oh Death』をRocketからリリースしている。2023年10月13日には『Medicine』を発表した。8月に先行曲「I Became the Unemployment Office」とともにリリースが告知された作品だ。Metacriticでは78点、スウェーデン53位、全英プログレッシヴ・アルバム・チャート3位を記録している。
同じ2023年には、シェーン・メドウズ監督のBBC/A24ドラマ『The Gallows Pole』の音楽も担当した。スコアは2023年にデジタル、2024年にアナログ盤で発売された。ライブでは、ウェールズのグリーン・マン・フェスティバルでFar Outテントのヘッドライナーも務めた。
2024年10月11日には、Rocket Recordingsからセルフタイトル作『Goat』を発表した。「One More Death」で始まり、7分を超える「Ouroboros」で終わる構成になっている。ウロボロスが示す死と再生の循環が、作品の軸として置かれている。
この作品では、ファズ・ギターとドラムを中心に、フルートやオルガン、ヒップホップ由来の要素も加わっている。レビューではFunkadelic、Santana、Osibisaなどの名前が挙がっている。2025年にはMC Yallahを迎えた「Nimerudi」、同じヨーテボリのハードロック・バンドGraveyardとの共演盤「Light as a Feather / Ship of Fools」も発表した。同年にはグラストンベリーのWest Holtsステージにも戻っている。
Goatの音楽は、アフロビート、ハードロック、ジャズ、クラウトロック的な反復、サイケデリック・ロックを混ぜた作りになっている。コンガを含む打楽器と、ファズの効いたギターが前に出る曲が多い。曲作りについてメンバーはThe Quietusに「僕らの曲は決して完成しないし、録音を始めるときにはどう終わるのか分からない」と話している。