Goat - Commune (2014)
Goat『Commune』について
スウェーデンの仮面バンド、Goatが2014年に発表した2作目が『Commune』である。前作『World Music』で強く印象づけた、儀式性のあるサイケデリック・ロックをさらに押し出した内容で、2010年代前半のオルタナティブなロック文脈の中でも、かなり独特な位置にある作品として受け止められてきた。レーベルはSub Pop。US盤として流通したこの盤は、ダイカット仕様のジャケットも含めて、作品世界を視覚面でもはっきり示している。
作品の輪郭
『Commune』は、アフロビート、ハードロック、ジャズ、60年代サイケデリック、ガレージ、デザート・ブルースといった要素が混ざりながら、曲ごとの輪郭は意外なほど明瞭である。Goatの作品は、ただ音の種類が多いだけのものではなく、リズムの反復と高揚を軸に組み立てられている点が特徴的だ。収録時間も比較的コンパクトで、短い曲が連なりながら一気に引き込む構成になっている。
冒頭曲「Talk to God」は、その性格がわかりやすい代表曲として語られることが多い。開始直後から打楽器とギターの推進力が前に出て、歌と合唱が加わることで、バンドの持つ儀式的な雰囲気が早い段階で立ち上がる。ここでの重要点は、雰囲気先行に見えて、実際には曲の展開が整理されているところだろう。勢いで押し切るだけでなく、フレーズの反復で場面を切り替えていく作りになっている。
Goatというバンドの位置づけ
Goatは、マスクを着けて演奏し、メンバー名も固定的に公表しないスタイルで知られている。プロフィール上も神秘性が強く、ライブではダンスや儀式性を思わせる演出が前面に出る。そうしたイメージが先に立ちやすい一方で、『Commune』では、前作以上に楽曲単位のまとまりが感じられる。奇抜さだけで語られるバンドではなく、サウンドの組み立てそのものが評価される段階に入っていた作品、と見てよさそうだ。
同時代の文脈でいえば、Thee Oh Seesのようなガレージ寄りの推進力や、アフロビート由来の反復感を持つロック、あるいはサイケデリック・ロックの再解釈と並べて語られることが多い。ただしGoatは、USインディーの直線的な勢いとも、単なるレトロ志向とも少し違う。打楽器の厚みやコーラスの使い方が前面に出るため、ロックのフォーマットの中に別の身体感覚が持ち込まれている印象がある。
録音と作品世界
制作背景については、海外メディアで“holy and unholy sites”で録音したという説明が触れられており、作品の周囲には一貫して神秘的な語りが付随している。Goat自身の出自についても、スウェーデン北部の村に伝わる秘教的な伝承と結びつけたストーリーが語られてきた。こうした情報は、単なる宣伝文句として消費されることもあるが、『Commune』では音の作りがそれに追いついている。音像の密度、反復の粘り、コーラスの配置が、作品の外側の物語を補強している。
盤面としてはUS盤Sub Popからの2014年リリースで、ダイカット・カバーが採用されている。ジャケットの仕様も含めて、通常のロック作品よりも「ひとつの儀式」をパッケージ化したような印象がある。Sub Popがこの作品を扱っていること自体も、オルタナティブ・ロックの系譜の中でGoatが受け止められていたことを示している。
当時の反応と聴こえ方
当時のレビューでは、『Commune』は前作で見せた要素を単に繰り返すのではなく、よりまとまりのある形で提示したアルバムとして評価されていた。特に短い収録時間の中で集中力を切らさず、最初から最後まで流れを保つ点が目立つ。実際に通して聴くと、曲ごとの温度差はありながらも、全体のテンションが大きく崩れない。リズム隊が土台を作り、その上でギターと歌が熱を積み上げる構造がはっきりしている。
『Commune』は、Goatの初期代表作として見られることが多い一枚であり、彼らの持つ「異様さ」が、単なる話題性ではなく、演奏と構成のレベルで成立していることを示した作品でもある。サイケデリック・ロック、アフロビート、ハードロック、フォーク的な感触が、ひとつのアルバムの中で無理なく接続されている点に、この作品の面白さがある。
トラックリスト
- A1 Talk To God
- A2 Words
- A3 The Light Within
- A4 To Travel The Path Unknown
- A5 Goatchild
- B1 Goatslaves
- B2 Hide From The Sun
- B3 Bondye
- B4 Gathering Of Ancient Tribes