Vinyl Record Reviews
Goliathは、1970年前後のイギリスで活動したプログレッシブ・ロック・バンドだ。マンチェスターで結成された5人組で、メンバーはヴォーカルのリンダ・ロスウェル、サックス/フルートのジョセフ・ロズボサム、ギターのマルコム・グランディ、ベースのジョン・ウィリアムソン、ドラムのエリック・イーストマン。1970年に唯一のセルフタイトル・アルバムを残している。
Goliathは、当時のCBS系プログレに見られるブラス入りのサウンドを土台にしながら活動していた。CBSレコードからは大きなプロモーションを受け、Led Zeppelin、Deep Purple、Emerson, Lake & Palmerといったバンドのサポート・アクトも務めている。デビュー当時は、今後の展開を期待される立場にあったようだ。
ただし、活動は長く続かなかった。アルバム発表後、数年のうちに解散している。関係者の証言では、リンダ・ロスウェルが過労による精神的な不調を抱え、さらにマルコム・グランディも同様の問題を抱えたことで、バンドの継続が難しくなったとされている。ロスウェルはその後、シングルを1枚録音している。
Goliathの音は、ハモンドオルガンを前面に出した典型的な英国プログレとは少し違う。フルートとサックスを前に出した編成で、ジャズ寄りの要素を含むプログレッシブ・ロックを鳴らしていた点が特徴になっている。ブラスの使い方もあり、当時のCBS系プログレの流れの中に置くとわかりやすい。
もう一つの大きなポイントは、リンダ・ロスウェルの歌だ。彼女は強い声質を持つシンガーで、Jefferson AirplaneのGrace SlickやDeliveryのCarol Grimesを思わせる、という評価が残っている。女性ヴォーカルが前に出る70年前後の英国ロックの中でも、Goliathの印象を決める要素になっている。
Goliathは当時から大きな知名度を持っていたバンドではなく、現在もかなり入手しづらい存在だ。それでも、1970年の英国プログレを掘るリスナーの間では、稀少盤として再評価されている。短い活動期間ながら、サックスやフルートを使った編成、女性ヴォーカルの存在、CBSからの後押しといった要素がまとまっていて、当時のシーンの一断面をそのまま残しているバンドだ。
Goliathをたどると、1970年前後の英国プログレが持っていた編成の自由さと、短命に終わったバンドの事情の両方が見えてくる。アルバムは少ないが、リンダ・ロスウェルのヴォーカルと、フルート/サックスを使ったアレンジは、今でも耳に残りやすい要素だ。