Goliath - Goliath (1970)
Goliath『Goliath』について
Goliathの『Goliath』は、1970年にUKで残された、かなり埋もれた英バンドのアルバムを、2012年にSweet Dandelionが再発した一枚である。作品全体の印象を先にまとめると、70年前後の英国プログレ周辺に見られるブラス入りの編成感を土台にしながら、女性ヴォーカルの存在がはっきり前に出るタイプの作品として捉えやすい。メンバーはJoseph Rosbotham、Malcolm Grundy、Eric Eastman、Linda Rothwell、John Williamson。特にLinda Rothwellの歌声は、この作品を語るうえで中心に置かれる要素になっている。
アーティスト情報では、当時のUKの“CBS系ブラス入りプログ”を思わせるが、そこにLinda Rothwellの強い声が加わる点が大きな違いとされている。Grace SlickやCarol Grimesを引き合いに出されることがあるのも、その存在感ゆえだろう。バンドの知名度自体は高くなく、むしろ後年の再発によって発見される形になった作品といえる。2012年盤は、60年代のサイケデリック、ガレージ、ビート系の再発に力を入れていたSweet Dandelionから出ており、当時の埋もれた音源を掘り起こす文脈の中に置かれている。
作品の位置づけ
このアルバムは、Goliathというバンドの輪郭を最もはっきり示す記録として見られるはずだ。少なくとも提示されている情報からは、単発のヒットで知られるタイプではなく、アルバム全体でバンドの個性を示す作品と考えられる。1970年という時期は、英国ロックがサイケデリックの余韻から、より構成の複雑なプログレへ移っていく過渡期にあたる。その流れの中で、ブラスの色合いを持つアレンジと、女性ヴォーカルの強さが前面に出る点は、同時代の英国ロックの中でも目につきやすい要素になる。
この作品を語るとき、比較対象として名前が挙がりやすいのは、やはりJefferson AirplaneやDelivery周辺の感触だろう。ただし、それらと完全に同じというより、英国的な重さや編成の密度の中にLinda Rothwellの声が差し込まれるところに特徴がある。バンドメンバーがいずれも無名だったという背景もあり、完成されたスター性より、作品そのものの個性で記憶されるタイプのアルバムになっている。
聴きどころ:Linda Rothwellのヴォーカル
このレコードでまず注目したいのは、Linda Rothwellの歌い方である。プロフィールにある通り、彼女は強い声を持つシンガーで、単に伴奏に乗る存在ではなく、楽曲の重心をかなりこちらへ引き寄せるタイプに見える。Grace Slickを思わせるという評価も、声の押し出しの強さや、楽曲の中で声が主導権を握る感触を指しているのだろう。男性中心になりがちな同時代のUKプログレの中で、このヴォーカルはかなり印象を残しやすい。
演奏面がブラス入りの編成感を持つぶん、歌が埋もれると作品の輪郭がぼやけやすいはずだが、Linda Rothwellの存在によってその点が支えられているように見える。結果として、単なる技巧の積み重ねではなく、声が先に耳へ入ってくる構図が生まれる。もしこのアルバムを通して聴くなら、まず彼女の声が曲ごとにどう配置されているかを追うだけでも、作品の性格がつかみやすい。
演奏とアレンジの感触
演奏は、1970年前後の英国ロックらしい、やや厚みのある編成を感じさせる。プロフィールにある「CBS brass-spiced prog sound」という説明どおり、プログレ寄りの構成感の中にブラスの色が差すことで、単純なギターロックとは異なる質感になっている。リズムや展開が前へ前へと進む場面と、歌を立てる場面の切り替えが、この作品の骨格になっていると見てよさそうだ。
2012年の再発盤として聴く場合、オリジナルの1970年作が持っていたであろう時代感をそのまま追体験するというより、埋もれていた英国ロックの一断面を後年の耳で確認する楽しみがある。Sweet Dandelionが得意としていた再発の流れに沿って、60年代末から70年代初頭の周辺作品を掘り返す文脈にきれいに収まる一枚である。オリジナル盤との細かな違いまではここでは断定しないが、少なくともこの2012年盤は、作品の存在を今に伝える入口として機能している。
全体像
『Goliath』は、派手な知名度で語られる作品ではないが、1970年のUKロックの空気を別角度から見せるアルバムである。女性ヴォーカルの強さ、ブラスを含む編成感、プログレ寄りの構成という要素が重なり、同時代の英国バンドの中でも少し輪郭の立った存在として残っている。Linda Rothwellの声が作品の印象を決める中心にあることは確かで、この点だけでも再発される意味が十分にある録音だと感じられる。
Goliathという名前自体は無名に近いが、こうした再発盤を通じて、当時の英国ロックがどれだけ多様だったかを知る手がかりになる。ジャンルの大きな流れの中で埋もれた一枚としてではなく、声と編成のバランスに特徴を持つ作品として見ると、このアルバムの輪郭はかなりはっきりしてくる。
トラックリスト
- A1 Port And Lemon Lady 4:05
- A2 Festival Of Light 4:58
- A3 No More Trash 3:43
- A4 Hunters Song 9:54
- B1 Men 3:43
- B2 I Heard A Song About A Friend 4:31
- B3 Prism 6:06
- B4 Emerge, Breath, Sunshine, Dandelion 3:32
- B5 Maajun (A Taste Of Tangier) 4:30
動画
- Goliath - Maajun (A Taste Of Tangier) [1970 Progressive Rock. UK]
- GOLIATH men - 1970 - UK
- "Hunters Song" by Goliath (UK, 1970)
- Goliath - I Heard About A Friend (Progressive Music) 1970
- Goliath - Maajun (A Taste Of Tangier) 1970
- Goliath - Hunters Song (1970)
- Goliath - Maajun (A Taste Of Tangier) (1970)