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Hiroshi Yoshimura(吉村弘、1940年10月22日 - 2003年10月23日)は、日本の電子音楽家・作曲家。日本の「環境音楽(Kankyō ongaku)」の先駆者の一人として紹介されることが多い。横浜生まれで、1970年代から音楽活動を続けた。
音楽活動は1972年、コンピュータ・ミュージック・グループ「Anonyme」の結成から始まる。ソロとしての初期代表作には、1982年の『Music For Nine Post Cards』がある。この作品は、9枚の絵はがきに捧げるという構想で制作されたとされ、エリック・サティの「家具の音楽」やブライアン・イーノの影響が反映されていると見られている。
当時の吉村の作品は、一般的なコンサート向けというより、特定の空間で流れることを前提にしたものが多かった。駅や展示空間のような場所での聴取を意識した音楽を手がけ、東京の現代美術シーンとも接点を持っていたとされる。
吉村弘の活動で特徴的なのは、ソロ作品だけでなく、空間のための音づくりを幅広く行っていた点だ。神奈川県立歴史博物館のような美術施設、資生堂や第一ホテル東京シーフォート、横浜国際競技場、植村秀のメイクアップ・スクールなど、企業や施設の案件を多数担当している。NHKや、横浜・神戸・大阪・東京といった各都市の公共案件にも関わっていた。
こうした仕事ぶりから、吉村の音楽は「作品を聴かせる」だけでなく、「場所に置く」ことを前提にしていた面が見えてくる。環境音楽という枠組みの中で、音そのものだけでなく、流れる環境との関係が重視されていた。
ジャンルとしてはElectronicに分類され、スタイルはAmbient、New Age、Minimalにまたがる。実際の作品でも、音数を抑えた構成や、反復を使った進行が目立つ。派手な展開よりも、空間の中で音がどう残るかに重点が置かれている。
『Music For Nine Post Cards』や1986年の『GREEN』は、後年になって再発され、改めて聴かれる機会が増えた。Light In The Attic Recordsによる再発や、コンピレーション『Kankyō Ongaku』への収録もあり、海外のリスナーにも広く知られるようになっている。
吉村弘は早稲田大学美術学科を卒業後、国立音楽大学の音楽デザイン学科や千葉大学工学部工業意匠学科で非常勤講師も務めた。美術館でのワークショップ活動にも関わっている。音楽制作だけでなく、教育や空間デザインの領域にも足を伸ばしていたことがわかる。
2003年10月23日、東京で死去。没後しばらくは広く知られた存在ではなかったが、2017年ごろからYouTube経由で海外のリスナーに作品が届き、再評価が進んだ。現在では、日本の環境音楽を語るうえで外せない作曲家として紹介されることが多い。
Hiroshi Yoshimuraの作品は、アルバム単位で聴いても、場所の記憶と結びつけて聴いても面白い。音楽そのものと空間設計が近いところにあるので、背景に流れているだけなのに、耳に残る場面が多い。