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Irakereは、キューバ音楽を語るうえで外せないバンドのひとつだ。1973年にピアニストのChucho Valdésを中心に結成され、ジャズ、ロック、クラシック、ファンク、そしてキューバの伝統音楽やアフロキューバンのリズムを組み合わせたサウンドで知られている。
ウェブ上の情報によると、Irakereは1973年、Orquesta Cubana de Música Modernaのメンバー8人が集まって始動した。メンバーにはChucho Valdés、Paquito D'Rivera、Arturo Sandoval、Carlos Averhoff、Jorge Varona、Enrique Plá、Carlos Emilio Morales、Carlos del Puerto、Jorge Alfonsoらが含まれている。キューバ国内の音楽シーンで経験を積んだ演奏家たちが集まり、既存のジャズ・バンドの枠に収まらない編成と演奏を作っていった。
バンドのサウンドは、ジャズの即興性や和声感に加えて、キューバの伝統音楽、アフロキューバンのリズム、さらにロックや欧州音楽の要素も取り込んでいる。プロフィール情報でも、Afro-Cuban Jazz、Funk、Latin Jazz、Cubano、Descarga、Guaguancóといったスタイルが挙げられている。
転機のひとつとしてよく挙げられるのが1977年のDizzy Gillespieとの接点だ。キューバを訪れたGillespieがジャムセッションで彼らの演奏に強い印象を受け、その存在をColumbia RecordsのBruce Lundvallに伝えたことが、国外での評価につながったとされている。
その後、1978年にはColumbiaとの契約のもとでニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演し、同年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの演奏も録音された。これらの音源をまとめた1979年のアルバム『Irakere』は、1980年のグラミー賞最優秀ラテン録音賞を受賞している。キューバのバンドとしては初のグラミー受賞だったが、当時は対キューバ禁輸措置の影響で、メンバーは授賞式に出席できなかった。
Irakereには長い活動のなかで、多くの実力派が参加している。Chucho Valdésのほか、Paquito D'Rivera、Arturo Sandoval、Carlos Averhoff、Jorge Varona、Germán Velazco、Enrique Plá、Carlos Emilio Morales、Carlos del Puerto、Jorge Alfonsoなどが名を連ねる。
1980年にはPaquito D'Riveraがマドリード公演中にアメリカ大使館へ亡命を申請して離脱し、1981年にはArturo Sandovalもバンドを離れた。両者はその後アメリカで国際的なジャズ・ミュージシャンとして活動している。こうした主要メンバーの離脱と米キューバ関係の緊張もあり、Irakereが再びアメリカで活動できるようになったのは1996年だった。
Irakereの特徴は、キューバのリズムを土台にしながら、ジャズのアンサンブルや即興、ファンクのビート、ロックの要素まで一つの演奏にまとめている点にある。単なる「ラテン・ジャズ」だけでは収まりきらず、曲によってはブラスの強い推進力、打楽器の細かなリズム、ピアノのモントゥーノ的な反復が前面に出る。
スタイル名として挙げられているAfro-Cuban Jazz、Descarga、Guaguancóは、いずれもキューバ音楽とのつながりが強い。Irakereはそれらをベースにしつつ、演奏の展開や編曲でジャズ・バンドとしての密度も作っている。バンド名が並ぶディスコグラフィや参加メンバーの広がりを見ると、固定された一枚岩というより、時期ごとに編成と方向性を変えながら進んできたグループとして見るのが近い。
Irakereは、革命後のキューバを代表する音楽的成果のひとつとして扱われることが多い。実際に、彼らの活動はキューバ国内の演奏家たちの評価だけでなく、国外のジャズ・シーンにも接続した。Paquito D'RiveraやArturo Sandovalのように、Irakere出身のミュージシャンが後に国際的なキャリアを築いている点も、このバンドの役割を示している。
キューバ音楽、ジャズ、ファンク、ラテン音楽の交差点にあるバンドとして、Irakereは1970年代以降のラテン・ジャズを知るうえで重要な存在だ。録音やライブの記録をたどると、演奏技術だけでなく、時代の政治状況や文化交流の流れまで見えてくる。