Grupo Irakere - Grupo Irakere (1974)
Irakere 1974

Grupo Irakere - Grupo Irakere (1974)

Jazz Funk / Soul Latin Afro-Cuban Jazz Funk Afro-Cuban Latin Jazz Cubano Descarga Guaguancó

Grupo Irakere / Grupo Irakere (1974)

Grupo Irakereは、キューバ音楽史の中でもかなり早い段階で、ジャズの編成感覚とアフロ・キューバンのリズムを強く結びつけたグループとして知られる。1973年に結成されたイラケレは、チューチョ・バルデースを中心に、伝統的なキューバ音楽、ジャズ、ロック、ファンクを同じ土俵に置く発想で動き始めた。その初期像を記録したのが、本作『Grupo Irakere』である。盤のリリースは1974年、録音はハバナのEGREMで行われている。

この時期のイラケレは、後年の洗練されたイメージよりも、まず編成の力が前に出る。ホーン、複数の打楽器、コーラス、エレクトリック・ギターがそれぞれの役割を持ちながら、曲の中で密度を作っていく。AllMusicでも初期イラケレは、実験的なグループとして位置づけられていて、キューバ民謡やアフロ・キューバンの打楽器群を、ジャズやファンクの語法と接続する意図が明確だったとされる。ここではその構想が、かなり直接的な形で鳴っている。

作品の位置づけ

『Grupo Irakere』は、バンドにとっての出発点に近い作品である。のちにイラケレは国際的にも高く評価され、キューバ音楽を語るうえで外せない存在になっていくが、その前段階として本作には、まだ荒さを残した推進力がある。演奏のまとまりよりも、まず音の重なりと勢いで引っ張る場面が多く、初期の現場感がそのまま残っている印象を受ける。

当時のメンバーには、チューチョ・バルデース、パキート・デ・リベラ、アルトゥーロ・サンドバル、カルロス・デル・プエルト、エンリケ・プラ、オスカル・バルデースら、後にそれぞれ重要な足跡を残す面々が含まれている。ここでの顔ぶれを見るだけでも、イラケレが単なる一バンドではなく、キューバの新しいジャズ・ムーブメントの母体だったことがわかる。

聴きどころ

冒頭曲「Chequere Son」は、この時期のイラケレを象徴する楽曲として知られる。複数の打楽器が細かく絡み、コーラスが入り、ホーンが前へ出る。そこにギターやベースが加わることで、単なるサルサ的な推進力とも、純粋なジャズ・アンサンブルとも少し違う、独特の緊張感が生まれている。ダンス向けの要素が強い一方で、リズムの切り替えや展開の置き方には、チューチョらしい構成意識が見える。

収録全体を通しても、各楽器が同じ方向へ一直線に進むというより、少しずつズレを持ちながら合流していく感覚がある。アフロ・キューバンの根を持ちながら、ジャズの即興性やファンクの反復性を取り込む、その試行錯誤の途中経過のような音である。後年のイラケレが持つ完成度とは別の、素材そのものの強さが前面にある。

同時代とのつながり

同じくラテン・ジャズやアフロ・キューバンの文脈で語られる音楽と比べても、イラケレの初期はかなり編成の発想が大きい。たとえば米国のラテン・ジャズがコンボの機能性を軸にしていたのに対し、イラケレはバンド全体をひとつの打楽器群のように扱う場面が多い。キューバの伝統音楽、ジャズ、ファンクを別々に並べるのではなく、ひとつの演奏の中で混ぜていく方向性がはっきりしている。

その意味で本作は、のちのキューバン・ジャズやフュージョンに影響を与える起点のひとつとして見られている。イラケレの後続には、チューチョ個人の活動だけでなく、パキート・デ・リベラやアルトゥーロ・サンドバルらのソロ展開も続いていくが、その前にある共同体としての熱量が、この1974年盤には残っている。

作品の輪郭

商業的な大ヒット作というより、後年の評価につながる初期文書のようなアルバムである。録音年と盤の年が近く、作品の性格もかなり当時の空気をそのまま持っているため、イラケレの始まりを確認するにはわかりやすい一枚だ。キューバ国営レーベルAreitoからのリリースという点も、当時の音楽環境をそのまま映している。

『Grupo Irakere』は、完成品というより、これから大きく広がっていく方法の提示に近い。アフロ・キューバンのリズム、ジャズの語法、ファンクの反復、そしてホーン・セクションの推進力。その組み合わせが、この時点ですでにかなり明確に鳴っているところに、本作の価値がある。

トラックリスト

  1. A1 Bacalao Con Pan 3:45
  2. A2 Danza De Los Nañigos 4:58
  3. A3 Valle Picadura 4:52
  4. A4 Taka Taka Ta 3:11
  5. B1 La Verdad 3:52
  6. B2 Luisa 4:13
  7. B3 Quindiambo 3:55
  8. B4 Misaluba 4:51

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