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Iron Maidenは、1975年にロンドン東部レイトンでベーシストのSteve Harrisを中心に結成されたイングランドのヘヴィメタル・バンドだ。結成当初はAsh Mountainを名乗っていたが、1939年の映画『鉄仮面』に由来するIron Maidenへ改名している。
1976年5月にポプラーのSt. Nicks Hallでデビューし、その後はストラトフォードのパブ、Cart and Horsesで活動を重ねた。初代ヴォーカルのPaul Mario Dayは、ステージでの「エネルギーもカリスマ性もない」として外された。ギタリストのBob Sawyerは、歯でギターを弾くふりをしたのがもとで解雇されている。初期はヴォーカルやギター、ドラムの交代が多く、Paul Mario Day、Dennis Wilcock、Dave Murray、Doug Sampson、Clive Burrらが次々に入れ替わっている。最終的に1981年にBruce Dickinsonが加入し、1982年からはNicko McBrainがドラムを担当する体制が定着した。1978年11月には、レイトンストーンのパブでの偶然の出会いから、ヴォーカルのPaul Di'Annoがオーディションを受けている。
マスコットの「エディ」は、ステージの背景に飾ったマスクから始まった。最初のマスクは美術学生David Arthur Brownが作り、照明担当のDave "Lights" Beazleyが改良を重ねて、ステージを歩く等身大のエディを生み出している。名前の由来についてHarrisは、マスクを「The Head」と呼んでいたのが、ロンドン訛りで「Ead(エド)」と聞こえたからだと説明している。
ギタリストも時期によって変動があり、Adrian Smith、Janick Gers、Dave Murrayが中心になっている。ベースはSteve Harrisが一貫して担当しており、バンドの中核を担い続けている。
1978年の大晦日にケンブリッジのSpaceward Studiosで録音された4曲入りデモは、DJのNeal Kayが自分のクラブで流したことで注目を集めた。「Prowler」は『Sounds』誌のチャートで1位を記録し、デモは『The Soundhouse Tapes』として自主リリースされている。5,000枚は数週間で売り切れた。このテープを聴いたRod Smallwoodがマネージャーとなっている。
1979年12月にEMIと契約し、1980年にはデビュー作『Iron Maiden』を発表した。この作品は全英4位を記録している。ジャケットに描かれたDerek Riggsのエディの絵は、もともとパンク・レコード向けに描かれたもので、バンドが髪を描き足して使った。1980年10月にはギターのDennis Strattonが外れ、Adrian Smithが加わる。Martin Birchのプロデュースによる『Killers』(1981年)は全米78位で、初めてアメリカのチャートに入った。Di'Annoは同年のツアー後、薬物の使用が原因とされて解雇され、代わりに1981年9月、SamsonのBruce Dickinsonがオーディションを受けて即座に採用された。
Bruce Dickinsonが参加した『The Number of the Beast』(1982年)は、バンド初の全英1位となった。アメリカでは保守的な団体から悪魔崇拝だと非難され、レコードを壊す抗議行動まで起きたが、バンドはこれを「ばかげたこと」と受け流し、おかげで「大量の宣伝になった」と語っている。Harrisは、彼らは「まったくの勘違いをしている」と言う。このアルバムは約2,000万枚を売り、バンド最大のヒット作となった。
1982年12月にはドラムのClive Burrが解雇され、Nicko McBrainが加入した。『Piece of Mind』(1983年)は全英3位、全米14位で、マディソン・スクエア・ガーデン公演も完売している。『Powerslave』(1984年)に伴うWorld Slavery Tourは28か国193公演に及んだ。バンドは鉄のカーテンの向こうに本格的なステージ・セットを持ち込んだ最初の西側のバンドとなり、その模様は映像作品『Behind the Iron Curtain』に収められている。ロック・イン・リオではQueenと共にヘッドライナーを務めた。
ライヴ盤『Live After Death』(1985年)は全英2位を記録し、『Somewhere in Time』(1986年)ではギター・シンセサイザーやベース・シンセサイザーを導入した。「Wasted Years」はこの時期の代表曲として知られている。『Seventh Son of a Seventh Son』(1988年)はコンセプト・アルバムで、HarrisとSmithがキーボードを弾いた初めての作品となり、全英1位を獲得した。1988年8月20日にはドニントンのMonsters of Rockでヘッドライナーを務め、記録的な10万7,000人を集めている。
Adrian Smithは、次作の「削ぎ落とした」方向性に同意できず、プリプロダクション中に脱退した。後任はJanick Gersである。『No Prayer for the Dying』(1990年)からの「Bring Your Daughter... to the Slaughter」は、バンド唯一の全英シングル1位になっている。『Fear of the Dark』(1992年)も全英1位を記録したが、Bruce Dickinsonはその後のReal Liveツアーを最後に、1993年8月28日の公演でバンドを離れた。
後任のBlaze Bayleyを迎えた『The X Factor』(1995年)と『Virtual XI』(1998年)の時期は苦戦が続いた。『The X Factor』は全英8位で初登場したが、売り上げは1981年以来最低の130万枚にとどまり、『Virtual XI』も全英16位止まりで、Bayleyは1999年1月に解雇された。1999年1月にはDickinsonとSmithが復帰し、ギター3人体制の編成で再出発している。
Kevin Shirleyのプロデュースでパリで録音した2000年の『Brave New World』は、商業的にも作品としても成功を収めた。2001年1月のロック・イン・リオには25万人以上が集まっている。『A Matter of Life and Death』(2006年)はバンド初のBillboardトップ10入りを果たして13か国で初登場1位となり、『The Final Frontier』(2010年)は28か国で1位、「El Dorado」で2011年のグラミー賞最優秀メタル・パフォーマンスを受賞した。『The Book of Souls』(2015年)は5度目の全英1位で、締めくくりの「Empire of the Clouds」は18分に及ぶバンド最長の曲である。サムライ姿のエディがジャケットを飾った『Senjutsu』(2021年)は27か国で1位になった。この絵はMark Wilkinsonが、Harrisのアイデアをもとに描いたものだ。
2008年のツアーでは改造したボーイング757「Ed Force One」を使用し、商業パイロットの資格を持つBruce Dickinsonが自ら操縦した。その旅はドキュメンタリー『Flight 666』(2009年)にまとめられている。2016年のツアーではエールフランスから譲り受けたボーイング747-400が使われ、Dickinsonは2022年までこの機体を操縦した。2025年にこの747が解体されると、部品で作ったキーホルダーが『The Number of the Beast』にちなむ66.66ユーロで売り出されている。2010年代以降も大規模ツアーを続け、Legacy of the Beastツアーは140公演で350万人以上を動員している。
2024年12月のサンパウロ公演を最後にNicko McBrainがツアーから退き、2025年からはSimon Dawsonがライブで後任を務めている。2025年5月には結成50周年を記念するRun for Your Lives World Tourが始まった。2026年4月13日にはロックの殿堂入りを果たした。Paul Di'Anno、Blaze Bayley、Clive Burr、Dennis Strattonら元メンバーも同時に殿堂入りしたが、バンドは日程の都合で式に出席しなかった。
Iron Maidenの特徴としてまず挙がるのが、Steve Harrisのベースが作る「ギャロップ」と呼ばれる疾走感だ。Harris自身は、影響を受けたバンドとしてBlack Sabbath、Deep Purple、Wishbone Ash、Thin Lizzy、Genesis、Jethro Tullを挙げている。そこにDave Murrayのレガート、Adrian Smithのメロディアスなギター、Janick Gersの即興性が重なる。
Bruce Dickinsonの歌唱はオペラ的と表現される。『Seventh Son of a Seventh Son』以降はプログレッシヴな要素が増えていった。
Iron Maidenは、後続のメタル・バンドに大きな影響を与えてきた。KissのPaul Stanleyは、彼らがひとつの音楽ジャンルを形作る助けをしたと語っている。MetallicaのLars Ulrich、Kirk Hammett、Jason Newstedも影響源として挙げており、Avenged Sevenfold、Anthrax、Megadeth、Dream Theaterなども影響を公言している。
アルバム総売上は世界で1億3,000万枚を超えている。Metal Hammer誌は、メタルへの影響力でBlack Sabbathに次ぐ2位にIron Maidenを挙げている。