Vinyl Record Reviews
Jack DeJohnette's Directionsは、ドラマーのジャック・ディジョネットが1976年に率いたグループだ。メンバーには、ジャック・ディジョネット、ジョン・アバークロンビー、マイク・リッチモンド、アレックス・フォスター、のちにはワーレン・バーンハートやピーター・ウォーレンも関わっている。
ディジョネットは、マイルス・デイヴィスの『Bitches Brew』への参加でも知られる人物で、このバンドでもその経験につながる電気的な響きと、即興を軸にした組み立てを前面に出している。ジャズの枠にフュージョンやアヴァンギャルドの要素を重ねた編成として動いていた。
Directionsは1976年ごろに始まり、ECMレコードで複数の作品を残している。録音としては、1976年2月の『Untitled』、1977年5月の『New Rags』、1978年6月の『New Directions』、そして1979年6月の欧州公演を収めたライブ盤『In Europe』がある。
1978年から79年にかけては、編成を変えた「New Directions」へ移行している。この時期は、マイク・リッチモンドに代わってエディ・ゴメス、アレックス・フォスターに代わってレスター・ボウイが加わり、バンド名も新しい段階に進んでいる。
このグループの特徴は、フュージョンとアヴァンギャルドを分けずに扱っているところにある。ジャズ・ロック寄りの推進力を持ちながら、曲の展開では直線的に進まず、編成の音をぶつけたり外したりしながら形を作っていく。
ジョン・アバークロンビーのギター、アレックス・フォスターのサックス、マイク・リッチモンドのベースが入る初期編成では、リズム隊と管楽器、ギターの役割が固定されすぎずに動いている。後期のNew Directionsでは、レスター・ボウイのトランペットが加わり、音の抜け方や重なり方にも変化が出ている。
ディジョネットは、Directionsやその後のSpecial Editionのような自身のバンドを、新しい演奏者を試す場として使ってきた。ここでも、その方針がはっきり見える。参加メンバーには、ジョン・アバークロンビーやアレックス・フォスター、のちのエディ・ゴメスやレスター・ボウイのように、各自の個性が強いミュージシャンが並ぶ。
このバンドの記録を追うと、70年代後半のジャズが、電気楽器を使うだけのフュージョンに収まらず、即興や構成の自由度を広げながら進んでいた流れも見えてくる。Directionsは、その動きの中でECMのカタログに残ったグループとして整理できる。
Jack DeJohnette's Directionsは、ジャック・ディジョネットのドラミングだけでなく、バンド編成の変化そのものを含めて追うと見えやすいグループだ。フュージョン、アヴァンギャルド、ECM作品群という3つの軸で見ると、70年代後半のジャズの動きがかなり具体的に浮かんでくる。