Jack DeJohnette's Directions - Cosmic Chicken (1975)
Jack DeJohnette's Directions『Cosmic Chicken』について
『Cosmic Chicken』は、Jack DeJohnette's Directions名義で1975年にUSのPrestigeから出た作品。録音は1975年4月24日から26日、カリフォルニア州バークレーのFantasy Studiosで行われている。Jack DeJohnetteを中心に、John Abercrombie、Mike Richmond、Warren Bernhardt、Peter Warren、Alex Fosterが参加した編成で、ジャンル表記はJazz、スタイルはFusion。ジャズの即興性を土台にしながら、当時の電気的な響きやリズムの感触を取り込んだ時期の作品として位置づけやすい1枚だ。
Jack DeJohnetteはドラマーとして知られるが、この作品では単なるリズムの支え役にとどまらず、バンド全体の流れを組み立てる側に立っている印象が強い。Directionsというユニット名も、その性格をよく表している。個人のソロ作品というより、複数の奏者が同じ方向を向いて進むアンサンブルの記録として聴こえる。
1975年という時代の中で
1975年は、ジャズがモダン・ジャズの語法だけでなく、ロックやファンクの要素を積極的に取り込んでいた時期。Prestigeというレーベルも、1950年代のハード・バップから60年代のオルガン・ジャズ、さらに70年代の新しい流れまで、幅広い年代の録音を抱えていた。その中で『Cosmic Chicken』は、古いPrestigeのイメージだけでは収まらない、より開けた感触のあるタイトルになっている。
同時代の文脈で見ると、電気楽器を含む編成や、拍の強さよりも曲の展開を重視する作りは、当時のフュージョン作品と共通する部分がある。ただし、この作品は技巧の見せ場を前に出すというより、各メンバーの反応を積み重ねていくタイプ。DeJohnetteのドラムが前面に出る場面でも、ビートを押し切るというより、音の配置を変えながら全体を動かしていく感じが残る。
参加メンバーの役割
John Abercrombieのギターは、この時期の彼らしい輪郭のはっきりした音色が軸になっている。Mike Richmondのベース、Warren Bernhardtのキーボード、Peter Warrenの低音楽器、Alex Fosterのサックスが加わることで、ひとつの固定したバンドサウンドというより、曲ごとに重心が変わる構成になっている。アンサンブルの中で誰か一人が常に主役を担うというより、短いフレーズの受け渡しや、音量の引き方で場面が切り替わる作りが目立つ。
この編成は、いわゆるギター・トリオ的なまとまりとも、管楽器中心のハード・バップとも違う。DeJohnetteの作品らしく、ドラムが拍を刻むだけでなく、曲の区切りや質感そのものを決めているのが分かりやすい。演奏の密度は高いが、常に音を詰め込むわけではなく、空間を残しながら進む場面もある。
タイトル曲「Cosmic Chicken」
タイトル曲「Cosmic Chicken」は、このアルバムの性格を端的に示す曲として受け取れる。リズムの推進力がありながら、一直線に押し切るのではなく、各楽器が少しずつ前に出たり退いたりする。ギターとキーボードの音が重なる部分では、硬い輪郭と流れるようなフレーズが交錯し、ジャズとフュージョンの境目を行き来するような感触が出る。
曲名の印象に引っ張られがちだが、内容はむしろ具体的で、演奏の組み立てが明快。DeJohnetteのドラムは細かな装飾を挟みながらも芯を失わず、バンドがどこで前に出るかを常に示している。派手な展開より、セクションごとの重なり方を追うと面白い1曲だ。
アルバム全体の聴きどころ
『Cosmic Chicken』は、ひとつの長い流れとして聴くと、曲の間で性格が少しずつ変わっていくのが分かる作品。どの曲でも、即興がただ長く続くのではなく、短い合図やフレーズの応酬で次の場面へ移っていく。特に、リズム隊が前に出る場面と、管やギターが空間を広げる場面の切り替えが滑らかで、ライブ感のある密度につながっている。
Prestigeの1975年盤として見ると、同レーベルの過去の録音資産とは別の、70年代中盤の現在形を示すタイトルでもある。録音場所がFantasy Studiosであることも含め、当時の西海岸録音らしいクリアさがある一方、演奏の中心はあくまでニューヨーク系のジャズの延長線上に置かれている。フュージョンという言葉だけでは収まりきらない、バンドの呼吸そのものを聞かせる作品としてまとまっている。
まとめ
『Cosmic Chicken』は、Jack DeJohnetteがドラマーとしてだけでなく、バンドの方向性を組み立てる音楽家として存在感を示した1975年作。John Abercrombieらとのアンサンブルは、演奏の勢いと整理された構成が両立していて、70年代ジャズの広がりをそのまま反映している。Prestigeという老舗レーベルから出た1枚でありながら、内容はかなり当時的で、同時代のフュージョンや電気的なジャズの流れの中にしっかり置ける作品だ。
トラックリスト
- A1 Cosmic Chicken 4:53
- A2 One For Devadip And The Professor 3:35
- A3 Memories 5:58
- A4 Stratocruiser 7:28
- B1 Shades Of The Phantom 6:13
- B2 Eiderdown 5:35
- B3 Sweet And Pungent 3:32
- B4 Last Chance Stomp 7:07
動画
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Jack DeJohnnette / Cosmic Chicken - Eiderdown
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Jack DeJohnette's Directions - Stratocruiser
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Jack DeJohnette's Directions – Cosmic Chicken (Jazz Fusion) (Rock) (1975) (Full Album)