Vinyl Record Reviews
Jasun Martzは、アメリカのミュージシャン、画家、彫刻家として活動してきたアーティストだ。ジャンルはElectronicとClassicalにまたがり、ExperimentalやModern Classicalの文脈でも語られている。音楽だけでなく、美術の分野でも制作を続けている点が特徴になっている。
Martzは15歳でプロとしての音楽出版契約を結んだとされる。かなり早い段階から音楽の仕事に関わっていたことがわかる。1970年代には、フランク・ザッパの1977〜78年ワールド・ツアーにシンセサイザー・プログラマーとして参加していた時期があり、その経験が後の活動にもつながっていく。
1976年ごろからは、自身の40人編成オーケストラ「Neoteric Orchestra」を組織し、組曲『The Pillory』の制作に取りかかっている。この作品は1978年にAll Earsレーベルから発表された。参加者には、U.K.、ロキシー・ミュージック、キング・クリムゾンで知られるエディ・ジョブソンや、ザッパ・バンドのルース・アンダーウッドらが含まれている。
また、このアルバムのジャケット・アートワークは、アール・ブリュットの創始者として知られるジャン・デュビュッフェが手がけたことでも知られている。以後、複数のレーベルから再発されていて、長く参照される作品として扱われている。
Martzは、前衛的な作品だけでなく、商業音楽の現場にも関わってきた。マイケル・ジャクソンとのレコーディングや、スターシップの「We Built This City」のアレンジへの関与が伝えられている。実験的な作品とポップスの制作現場の両方に足を運んでいる点は、活動歴の中で目を引く部分だ。
公開されている情報を見ると、Martzの音楽は電子音響、管弦楽、合唱を組み合わせた構成が軸になっている。プロフィールでは、合唱のみの編成、オーケストラのみの編成、オーケストラと合唱を合わせた編成の3つのセットアップとも関わっている。これにより、電子音楽の処理とクラシック寄りの編成を行き来する制作を続けてきたことがうかがえる。
また、1970年代のシンセサイザー・プログラマーとしての経験や、大編成オーケストラの運営歴からは、演奏家としてだけでなく、音響設計や編曲の面でも関与してきたことが見えてくる。
Martzはニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンを拠点に、画家・彫刻家としても活動している。カリフォルニア大学サンタバーバラ校では絵画と彫刻を学んだ。各都市の地下鉄で行き交う人々から着想を得た絵画や、パピエマシェ彫刻を制作しているとされる。
音楽と美術を並行して続けてきたアーティストとして、作品の幅はかなり広い。音楽の領域ではオーケストラや合唱を使った大規模な構成、美術の領域では都市の移動空間を題材にした表現を展開している。
Jasun Martzの活動は、Bandcamp、SoundCloud、Spotify、YouTube、Instagram、Facebook、Xなどで確認できる。作品や近況を追うなら、リンク集のLinktreeやBandcamp、Spotifyが見やすい。
実験的な電子音楽や現代音楽寄りのオーケストラ作品に関心がある人なら、Jasun Martzの名前は押さえておきたいところだ。