Vinyl Record Reviews
Jimmy Smithは、1928年12月8日にアメリカ・ペンシルベニア州ノーリスタウンで生まれ、2005年2月8日にアリゾナ州スコッツデールで亡くなったジャズ・キーボード奏者だ。主な楽器はハモンドB-3オルガンで、この楽器をジャズの前面に押し出した人物として知られている。ジャンルはジャズで、スタイルとしてはソウル・ジャズやハード・バップに位置づけられる。
もともとJimmy Smithはビバップ系のピアニストとして活動を始めたが、1951年頃からハモンドB-3オルガンを弾くようになった。オルガンはそれまで伴奏的な扱いを受けることが多かったが、彼はそれをジャズのリード楽器として本格的に定着させたとされる。
彼の演奏は、ブルース、ビバップ、ゴスペルの要素を組み合わせたものとして語られることが多い。このスタイルが、のちにソウル・ジャズと呼ばれる流れを形づくった。ジャズ・オルガン奏者の多くが彼の影響を受けたと見なされている。
Jimmy Smithは1956年にニューヨークのCafé Bohemiaでデビューし、その後Birdlandへの出演や1957年のニューポート・ジャズ・フェスティバル出演を経て、活動を広げていった。1956年にはBlue Noteと契約し、『A New Sound...A New Star...』でレコーディング・デビューを果たしている。
Blue Note時代には、Kenny Burrell、Lee Morgan、Stanley Turrentineらとの共演作を含む作品群を残した。1962年にはVerve Recordsへ移籍し、活動の幅をさらに広げた。
Verve移籍後の作品では、ビッグバンド編成の『Bashin'』(1962年)に収録された「Walk on the Wild Side」がよく知られている。また、ギタリストのWes Montgomeryとの共演作『The Dynamic Duo』や『Further Adventures of Jimmy and Wes』でも評価を得ている。
こうした録音では、オルガンの低音から中音域までを使った推進力のあるフレーズと、バンド全体を引っ張る役割がはっきりしている。ソロだけでなく、アンサンブルの中での存在感も強い。
Jimmy Smithの演奏は、ハモンドB-3の音色を前面に出しながら、ブルース感覚とビバップ由来のフレーズを結びつけている点が特徴だ。ゴスペル的なコード感やリズムの置き方も含めて、後のソウル・ジャズの基本的な形を作った人物として扱われている。
オルガンを単なる伴奏用ではなく、主旋律も担える楽器として扱ったことが、彼の大きな功績として挙げられる。ジャズの編成にオルガン・トリオの存在感を定着させた点も重要だ。
Jimmy Smithの録音は、後年ヒップホップのサンプリング素材としてもしばしば使われている。DJ Shadow、Beastie Boys、Nasらの作品にも取り入れられてきた。ジャズの文脈を超えて、クラブ・ミュージックやヒップホップの制作現場でも参照されてきたことがわかる。
また、「アシッドジャズの父」と呼ばれることもあり、ジャズ、R&B、ファンクの接点にある音楽を考えるうえで、彼の存在はかなり大きい。2005年には全米芸術基金(NEA)からジャズ・マスターズ賞を授与されている。
Jimmy Smithを初めて聴くなら、まずはBlue Note時代の録音と『Bashin'』、それからWes Montgomeryとの共演作を追うと流れがつかみやすい。ハモンドB-3の使い方、リズムの押し出し方、バンド全体の動かし方が、かなりはっきり聴こえてくる。