Vinyl Record Reviews
Joan Jett & The Blackhearts は、1979年にジョーン・ジェットとプロデューサー/ソングライターのケニー・ラグーナを中心に始まったロック・バンドだ。ジャンルはロック、スタイルはハードロックに分類されている。
メンバーは時期によって入れ替わっており、ジョーン・ジェットを軸に、Kenny Laguna、Kenny Aaronson、Kasim Sulton、Thommy Price、Eric Ambel、Gary Ryan、Lee Crystal、Sami Takamäki、Michael McDermott、Danny O'Brien、Tony Rey、Acey Slade、Dougie Needles、Enzo Penizzotto、Ricky Byrd、Hal B. Selzer らの名前がクレジットされている。
ザ・ランナウェイズ解散後、ジョーン・ジェットはソロ・デビュー作をヨーロッパで録音したが、23ものメジャーレーベルに持ち込んでも契約を断られた。ここでケニー・ラグーナが動き、2人は1980年に自主レーベルのブラックハート・レコードを設立する。
当初は、車のトランクに積んだレコードを直接売るやり方で広めていったという。流通の規模は小さいところから始まったが、人気が高く、供給が追いつかない状態になったとされている。
ブラックハート・レコードから出た作品は、のちに『Bad Reputation』として再登場する。これはジョーン・ジェットのセルフタイトル作が、後に別の形でリイシューされたものだ。
1981年にはブラックハーツ名義の1stアルバム『I Love Rock & Roll』を発表し、ここに収録された「I Love Rock 'n' Roll」が大きなヒットになった。全米ビルボード200で最高2位を記録しており、ジョーン・ジェットとバンドを代表する曲として知られている。
この曲は、もともと1975年に英国のバンド、ジ・アローズが発表した楽曲のカヴァーだが、ジョーン・ジェット版によって広く知られる存在になった。
結成当初のブラックハーツは、ジョーン・ジェットに加えて、リード・ギター、ベース、ドラムという編成で始まった。1980年のヨーロッパ・ツアー後には、ドラム担当のDanny Furious が交代し、その後もメンバーの入れ替えが続く。
『I Love Rock & Roll』の制作時には、リード・ギターが交代している。1985年ごろには Ryan と Crystal が抜け、ベースとドラムがそれぞれ交代した。1989年には Sulton が外れ、その後1992年ごろにもベース担当の変更があった。
1990年代半ばには活動休止状態になり、ジョーン・ジェットは音楽プロデュースやソロ、共同作業に力を移していく。
Joan Jett & The Blackhearts の音は、ハードロックを軸にした、ギター主体のシンプルなロックだ。リフを前面に出した曲が多く、演奏の構成もわかりやすい。大きな装飾より、曲の推進力を優先する作りが目立つ。
「I Love Rock 'n' Roll」をはじめ、短いフレーズを強く押し出すタイプの楽曲が多く、ライブでもそのまま伝わりやすい。ジョーン・ジェットの歌い方とバンドの直線的な演奏が、グループの中心にある。
このバンドを語るとき、メジャーレーベルから拒否されたあとに自主レーベルを立ち上げ、そこから成功をつかんだ流れは外せない。自分たちでレコードを作り、売り、広めたという経緯は、ジョーン・ジェットの反骨的な姿勢を示すエピソードとして広く知られている。
また、「I Love Rock 'n' Roll」が大ヒットしたことで、ジョーン・ジェットはカヴァー曲を自分たちの代表曲に変える力を持つアーティストとしても見られている。オリジナル曲だけでなく、既存曲をバンドの色に置き換えるやり方も、このグループの重要な要素だ。