Vinyl Record Reviews
Khanは、イングランド・ロンドンで1971年に結成されたプログレッシブ・ロック・バンドだ。活動期間は1971年から1972年までと短く、アルバムは1枚だけ残して解散している。中心人物はSteve Hillageで、カンタベリー・シーンとの関わりが深いバンドとして語られることが多い。
Khanの前身は、1967年にSteve Hillage、ベーシストのMont Campbell、オルガン奏者のDave Stewart、ドラマーのClive Brooksで組まれたUrielだった。Hillageが大学進学のために一度抜けたあと、残ったメンバーはEggとして活動を続ける。その後、1971年にHillageとDave Stewartが再び合流する形でKhanが始動した。
この流れを見ると、Khanはまったく新しいバンドというより、UrielからEggへ、さらにKhanへとつながるカンタベリー周辺の人脈の延長線上にある。Hillageはカンタベリー大学時代にCaravanのメンバーと知り合い、そのつながりを通じてレコード契約につながったという経緯もある。
Khanが残した唯一のアルバムは、1972年の『Space Shanty』だ。ここではSteve Hillageの長尺で構成の大きい楽曲と、Dave Stewartのオルガンが前に出たサウンドが軸になっている。カンタベリー・シーンに特徴的な、ロックを土台にしながら鍵盤を中心に組み立てる感触がはっきりある。
このアルバムには、元The Crazy World Of Arthur BrownのベーシストであるNick Greenwoodも参加している。メンバー表から見ても、当時の英国プログレ周辺の人材が集まった作品だったことがわかる。
Khanは2作目の制作まで進んだものの、レーベルのDeccaがリリースに難色を示したため、Hillageがバンドを解散させた。バンドとしての活動はここで終わるが、メンバーの動きはその後も続く。
HillageはまずKevin Ayersのバンドに加入し、1973年1月にはGongに参加する。一方でDave Stewartは、その後Hatfield and the NorthやNational Healthといったジャズロック系のバンドで活動していく。Khanの解散後も、メンバーはそれぞれ英国ロックの重要な現場に関わっていった。
Khanを語るうえで、カンタベリー・シーンとのつながりは外せない。Dave Stewartのオルガンを中心にした組み立て方、Hillageのギターを前面に出した長い曲作り、そして周辺ミュージシャンの参加まで含めて、このシーンの文脈にきれいに収まっている。
ただし、Khanはその中でも活動期間がかなり短く、作品数も少ない。そのぶん『Space Shanty』は、当時の英国プログレやカンタベリー系の流れを確認するための一枚として扱われることが多い。
まずは『Space Shanty』から入るのが自然だ。Khanの活動はこの1枚に集約されていて、バンドの成り立ち、カンタベリー・シーンとの関係、Steve Hillageの志向がまとまっている。短命なバンドではあるが、英国プログレの流れをたどるときには外しにくい存在だ。