Khan Featuring Steve Hillage & Dave Stewart - Space Shanty (1972)
Khan 1972

Khan Featuring Steve Hillage & Dave Stewart - Space Shanty (1972)

Rock Psychedelic Rock Prog Rock

Khan Featuring Steve Hillage & Dave Stewart / Space Shanty

1971年にロンドンで結成され、短い活動期間ののち1972年に解散したKhanの唯一のアルバムが、このSpace Shanty。中心にいるのはスティーヴ・ヒレッジで、そこにデイヴ・スチュワートらが加わった編成だ。カンタベリー・シーンに近い感触を持ちながら、ジャズ寄りの流れだけでなく、ギターを前に押し出したロックの手触りもはっきりある作品で、バンドの出自と当時のプログレの空気がそのまま詰まっている。

オリジナルは1972年作。この日本盤は1976年リリースで、King Recordsが国内流通を担った盤になる。ジャケットや帯、両面インサート付きという仕様も含めて、70年代半ばの日本盤らしいまとまりがある。音源そのものは1972年のアルバムだが、盤としては後年の再登場という位置づけになる。

作品の輪郭

収録曲は長尺曲を軸にした構成で、演奏の組み立てがかなり明確だ。ギター、オルガン、ベース、ドラムが細かく絡み合い、曲が進むごとにリフの切り替えや拍の揺れが出てくる。カンタベリー系のバンドに見られる緻密さはあるが、音の前面に出るのはヒレッジのギターで、そこがKhanらしさになっている。単に技巧を並べるのではなく、曲の流れの中で音が変わる作り。

制作面では、もともとの鍵盤奏者ディック・ヘニングハムが録音前に抜け、ダイヴ・スチュワートが参加したことが大きい。ヒレッジとスチュワートは旧知の間柄で、その関係がアルバムの核になっている。のちのヒレッジの活動を知っていると、この時点で既に独特のギターの線の太さや、鍵盤の動きとの組み合わせが形になっているのが分かる。

同時代の中での位置

1972年の英国プログレ周辺には、長尺構成や組曲的な展開を持つ作品が多い。その中でSpace Shantyは、派手な大作志向よりも、演奏の密度と曲の推進力で印象を残すタイプ。カンタベリー・シーンの文脈に置かれることが多いが、ソフトなジャズ・ロックに寄り切らず、もっと直接的なロックの圧を残している。

ヒレッジにとっても重要な一枚で、Khan解散後の活動へつながる起点になった作品として見られている。のちに展開するソロや周辺プロジェクトをたどると、このアルバムで示されたギターの質感や、長い曲を一気に運ぶ構成感が、その後の流れの土台になっているのが分かる。

日本盤としての面白さ

1976年盤は、1972年のオリジナルから少し時間を置いた再登場。Deramの日本盤として出たことで、当時の国内リスナーにとっては英国プログレの掘り起こし盤としての意味合いもあったはずだ。帯付き、ダブルサイド・インサート付きという仕様は、コレクション面でも存在感がある。オリジナル期の空気をそのまま持つ作品を、70年代半ばの日本盤で手に取る感覚もまた、このレコードの面白さだ。

聴きどころ

このアルバムでまず目立つのは、ヒレッジのギターが曲の中心を引っ張る場面。フレーズを細かく刻むというより、音の伸びと切り替えで場面を作る。そこにスチュワートの鍵盤が入ることで、単なるギター主導のロックにならず、展開の多いプログレとしての輪郭が出る。演奏の隙間が少ない一方で、各パートの役割ははっきりしている。

また、Khanが1枚だけで終わったバンドであることも、この作品の見え方を決めている。結果としてSpace Shantyは、バンドの名刺代わりであると同時に、ヒレッジとスチュワートの接点を記録したアルバムでもある。後年の評価では、英国プログレの中でも埋もれやすいが内容の詰まった一枚として語られることが多い。派手な代表曲で押すアルバムではないが、アルバム全体の流れで聴くと、1972年の英国ロックの細部がよく見える作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Space Shanty (Incl. The Cobalt Sequence And March Of The Sine Squadrons)
  2. A2 Stranded (Incl. Effervescent Psycho Novelty No. 5)
  3. A3 Mixed Up Man Of The Mountains
  4. B1 Driving To Amsterdam
  5. B2 Stargazers
  6. B3 Hollow Stone (Including Escape Of The Space Pilots)

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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