Vinyl Record Reviews
Kokomoは1973年に結成されたイギリスのバンドだ。ファンク、ソウルを軸にしつつ、ディスコやR&Bの要素も含んだサウンドで知られている。メンバーは固定のロックバンドというより、英国の複数のグループで活動してきたミュージシャンたちが集まった形に近い。
中心となったのは、Arrival出身のボーカリスト、Dyan Birch、Paddie McHugh、Frank Collins。そして、Joe CockerのGrease Bandで活動していたNeil Hubbard(ギター)とAlan Spenner(ベース)も加わった。さらに、Tony O'Malley(ピアノ)、Jim Mullen(ギター)、Terry Stannard(ドラム)、Joan Linscott(コンガ)、Mel Collins(サックス)らが参加し、演奏力の高い布陣になっていた。
この編成は1977年1月にいったん解消される。その後、1980年代前半にロンドンのライブシーンで再編成版のKokomoが活動し、アルバムも1枚録音した。さらに1980年代後半にも再結成が行われている。バンドの活動は通して一定ではなく、メンバーの入れ替わりや再集結を挟みながら進んでいった。
Alan Spennerが1991年8月に亡くなったことで、その後の編成には大きな区切りがついた。Kokomoは長期的に固定されたバンドというより、時期ごとに形を変えながら続いたグループとして見たほうが実態に近い。
Kokomoの音楽は、ブルー・アイド・ソウルの流れにある。1975年に出たセルフタイトルのデビューアルバムは、NME誌で高く評価された記録がある。ライブではパブロック寄りのR&B色が強かった一方、レコーディングではスタジオ処理が加わり、より整理された音像になっている。
その結果として、英国のバンドでありながら、西海岸系の乾いた抜けの良さを持つ仕上がりになっている。ソウル、ディスコ、R&Bを土台にしつつ、演奏の細部がきちんと詰められているのが特徴だ。
Kokomoの強みは、個々のメンバーがバンド外でも広く仕事をしていた点にもある。Neil HubbardはBrian Ferry、Roxy Music、Robert Palmer、B.B. King、Buddy Guyなどとの共演歴があり、セッション・ギタリストとしても知られている。Mel CollinsもDire Straits、Eric Clapton、Rolling Stones関連の作品やライブに参加してきた。
こうした経歴を見ると、Kokomoは単なる一時的なソウル・バンドではなく、英国のセッション・シーンと接続した集合体としても機能していたことがわかる。演奏の安定感やアレンジのまとまりは、この背景と結びついている。
1975年にはボブ・ディランに見出され、アルバム『Desire』収録の「Romance in Durango」のレコーディングに参加している。さらに、Bryan Ferryのソロアルバム『In Your Mind』でもバックを務めた。こうした参加歴は、当時のKokomoがレコーディング現場で信頼される存在だったことを示している。
バンドとしての作品だけでなく、他アーティストの制作を支えた実績も多い。Kokomoを追うと、70年代英国のソウル/R&B周辺が、ライブハウスだけでなくスタジオでも動いていたことが見えてくる。
関連情報は、公式サイト、Facebook、Bandcamp、Wikipediaでも確認できる。作品単位で追うなら、まずは1975年のデビューアルバムから聴くと、Kokomoの輪郭がつかみやすい。