Vinyl Record Reviews
Laurie Andersonは、1947年6月5日生まれ、アメリカ・イリノイ州グレンエリン出身のパフォーマンス・アーティスト/作曲家だ。幼いころからヴァイオリンを弾いていたが、正式な教育は美術分野で受けている。音楽家としてだけでなく、視覚表現や演出を含めた総合的な作品づくりで知られている。
Andersonの作品は、グラフィック、照明、彫刻、パントマイム、スライド、映画、語り、音楽、電子機器などを組み合わせたものが多い。自作の電子装置も使ってきた。1976年までには、ヨーロッパと北米の美術館やコンサート会場で公演が注目されるようになっていた。
彼女のパフォーマンスは、ストーリーテリング、演劇、儀式、ダンス、音楽、娯楽、スポーツといった複数の文化的な要素を取り込んでいる。自伝的な内容と歴史的な出来事を行き来しながら、社会の中にある言葉や音、しぐさ、イメージを組み直していく手法が特徴だ。
ジャンルとしてはElectronic、Rock、Popにまたがるが、実際の内容はExperimentalやArt Rockの要素が強い。New Ageの文脈で語られることもある。ヴァイオリンの弓に磁気テープを貼り、ブリッジ部分にテープヘッドを仕込んだ「テープボウ・ヴァイオリン」や、音声フィルター、「トーキング・スティック」など、自ら考案した装置を使う点もよく知られている。
こうした機材は、通常の楽器演奏というより、音の加工や声の変形を前提にしたパフォーマンスに向いている。音楽、語り、機械的な音処理が一体になった作品が多く、ライブでもその構成が前面に出る。
1981年のデビュー・シングル「O Superman」は、正式には「O Superman (For Massenet)」という題名で発表された。19世紀フランスの作曲家ジュール・マスネへのオマージュとして作られている。
この曲は、1979年から1981年にかけてのイラン・アメリカ大使館人質事件、特に1980年のイーグルクロー作戦の失敗とも結びつけて語られている。Anderson自身も、軍事技術の失敗や当時のアメリカ政府への批評と関係する作品として説明している。実験的な内容ながら、イギリスのシングルチャートで2位を記録した。
それまでのAndersonは主に美術やパフォーマンスの文脈で活動していたが、この曲のヒットによって、前衛芸術の枠を越えて広く知られるようになった。
代表的なプロジェクトとしては、「United States I-IV」がある。音楽、映像、テキストを組み合わせた大規模なマルチメディア公演で、自伝的な要素と歴史的な出来事を重ねながら進んでいく。Andersonの表現方法をよく示す作品として扱われている。
2002年にはNASA史上初の「アーティスト・イン・レジデンス」に任命された。その経験は、2004年初演の一人芝居『The End of the Moon』にも反映されている。
Andersonは音楽だけでなく、舞台芸術、映像、言葉の扱いまで含めて活動してきた。関連サイトとしては、公式サイトやBandcamp、Facebook、Instagramのほか、ディスコグラフィーやIMDb、Wikipediaも確認できる。作品の範囲が広いので、アルバム単位だけでなく、パフォーマンス作品や映像作品からたどると全体像がつかみやすい。
Laurie Andersonの面白さは、楽曲の完成度だけでなく、音をどう見せるか、言葉をどう配置するかまで含めて組み立てている点にある。ヴァイオリン、電子機器、語り、映像が同じ土俵に並ぶので、普通のシンガーソングライター的な聴き方とは少し違う入り口になる。
実験音楽、アートロック、パフォーマンス・アートの交差点にいるアーティストとして、今も参照されることが多い存在だ。