Vinyl Record Reviews
リー・モーガン(Lee Morgan, 1938年7月10日生まれ、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィア出身)は、ハードバップを代表するジャズ・トランペッターのひとりだ。1972年2月19日、ニューヨークで死去している。録音活動は1950年代半ばから本格化し、ブルーノート・レコードには1956年から録音を残し始めた。
モーガンのディスコグラフィーで大きな位置を占めるのがブルーノートでの仕事だ。リーダー作だけでも通算25作を同レーベルに残していて、ハードバップの流れを追ううえで欠かせない存在になっている。レーベルのカタログをたどると、若い時期から中期まで継続して録音を重ねていたことが確認できる。
参加メンバーの詳細はここでは挙げないが、プロフィール上ではいくつかの重要なセッションやバンドで活動していたことが知られている。ジャズの現場で経験を積みながら、自分のリーダー作でも存在感を強めていったタイプのミュージシャンだ。
1963年録音のアルバム『The Sidewinder』は、モーガンの代表作としてよく挙げられる。特に表題曲は、ジャズの枠を越えてポップ/R&Bチャートにも入るヒットになった。ハードバップの曲が広い層に届いた例として、この作品は今もよく参照される。
このヒットによって、モーガンはハードバップを代表するトランペッターとしての地位を強めた。ブルーノートの録音群の中でも、『The Sidewinder』は音楽ファンがまず手に取りやすい1枚として扱われることが多い。
リー・モーガンの演奏は、ハードバップの文脈で語られることが多い。速いフレーズを前に出す場面でも、メロディをはっきり聴かせる場面でも、トランペットの音が前面に出る。録音を追うと、ブルーノート期の作品群の中で、ソロの組み立てやリズムの置き方に一貫した個性が見える。
ジャズ・ディスコグラフィーやオールミュージック、ジャズ・ミュージック・アーカイブスの情報を見ても、モーガンは単発のヒット曲だけでなく、アルバム単位での活動が厚い。作品ごとに編成や曲調は違っても、リーダーとして録音を重ね続けた点が、彼のキャリアの核になっている。
私生活では、1967年冬にヘレン・ムーアと出会い、彼女が生活面や金銭面を支えたとされている。コートやトランペットを質から引き出し、薬物依存からの回復と音楽活動の再開を後押しした人物として知られている。
その一方で、1972年2月19日、ニューヨークのジャズクラブ「スラッグス」での演奏中に銃撃を受けて死亡した。発砲の経緯や動機については複数の証言があり、状況には異なる見方が残っている。この事件と2人の関係は、2017年のドキュメンタリー映画『I Called Him Morgan』でも取り上げられた。
リー・モーガンの名前は、ハードバップのトランペット奏者を語るときに外しにくい。ブルーノートに残した多くの録音、『The Sidewinder』のヒット、そして短い生涯の中で積み上げたキャリアが、今もジャズの記録の中で参照され続けている。