Vinyl Record Reviews
Linda Cliffordは、1948年6月14日にニューヨーク州ブルックリンで生まれた、アメリカのR&B/ディスコ/ハウス系シンガー、そして女優だ。ファンク/ソウルの文脈でも語られることが多く、70年代後半から80年代前半にかけてアルバムを発表している。
Cliffordは元ミス・ニューヨーク州で、R&Bに進む前にはジャズ・バンドのフロントも務めていた。ミス・ニューヨーク州のタイトル獲得後は女優としても活動し、映画で小さな役を演じている。音楽面では、Paramount Recordsでシングルを録音したあと、Curtomと契約した。
Curtom所属後、Cliffordは1977年から1985年のあいだに9枚のアルバムをリリースしている。その中には、プロデューサーのCurtis Mayfieldとのデュエット・アルバムも含まれる。ソウルとディスコを軸にした作品を重ねながら、当時のR&Bシーンで存在感を見せていった。
代表曲としてよく挙げられるのが、1966年のブロードウェイ曲「If My Friends Could See Me Now」のカバーだ。これはShirley MacLaineのヒットでも知られていた曲で、Cliffordにとってはブレイクのきっかけになった。ほかにも、Simon & Garfunkelの「Bridge Over Troubled Water」をA面まるごと使う形でカバーした作品や、Rod Stewartの「Tonight's The Night」のカバー、「Runaway Love」、「Red Light」などがある。
Cliffordの代表曲のひとつに「All The Man That I Need」がある。1982年のアルバム『I'll Keep On Loving You』に収録されたオリジナル版で、ウェブ検索で確認できる情報では、Dean PitchfordとMichael GoreがCliffordのために書き下ろした楽曲とされている。制作面にはLuther Vandrossも関わっており、Cliffordと当時の夫を念頭に置いて書かれた曲だったとも伝えられている。
この曲は後にSister Sledgeもカバーし、1990年にはWhitney Houstonが『I'm Your Baby Tonight』からの2ndシングルとして発表したヴァージョンで広く知られるようになった。さらに1994年にはLuther Vandross自身が「All The Woman That I Need」として男女を入れ替えた形で歌っている。もともとCliffordのために書かれた曲が、別の世代やアーティストにも受け継がれていった流れが見える。
Cliffordはニュー・ハウス世代からレジェンド級のディーヴァとして扱われることがあり、近年のハウス作品にもゲスト参加している。たとえばRalphi Rosarioの「Wanna Give It Up」や、Akabuの「Ride The Storm」に参加している。90年代以降のダンス・ミュージックの現場でも名前が出てくるのが特徴だ。
2015年には、Martha WashやEvelyn KingとともにFirst Ladies of Discoを結成している。Cliffordはこのグループで「Show Some Love」(2015年)と「Don't Stop Me Now」(2019年)をリリースした。70年代ディスコの流れを知る歌い手として、同世代のシンガーたちと並んで活動している形だ。