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Lipps, Inc.は、アメリカ・ミネアポリス出身のファンク/ソウル系ディスコ・バンドだ。中心人物はSteven Greenbergで、グループ名は「lip sync」に由来する言葉遊びになっている。ボーカルとサックスを担当したCynthia Johnsonが加わったことで、実質的なデュオとして動き始めた。
Steven Greenbergは、もともとミネアポリスで結婚式のDJをしていた人物で、Lipps, Inc.は彼のベッドルーム・プロジェクトとして始まった。最初は「Lip Sync」という名前を使おうとしたが、すでに使われていたため、同じ発音になる「Lipps, Inc.」に変えたという。
「Rock It」のシンガーを探していたときに出会ったのがCynthia Johnsonだった。彼女はそれ以前、ミネアポリスのバンドFlyte Tymeで約7年間、リード・ヴォーカルとサックスを担当していた。Flyte Tymeはその後、Prince周辺の流れにつながるThe Timeへ発展していく。
Lipps, Inc.の名前を決定的にしたのは、1980年の「Funkytown」だ。曲は1980年にミネアポリスのSound 80スタジオで録音され、全米のBillboard Hot 100とHot Dance Music/Club Playで4週連続1位を記録した。世界40カ国以上でヒットし、売上は2000万枚以上ともされる。
この曲の歌詞は、Greenbergが当時のミネアポリスの音楽シーンを「無味乾燥」と感じ、そこから抜け出して“ファンキーな街”へ行きたいという発想から生まれたものだ。映画『シュレック2』をはじめ、映像作品やスポーツイベントでも使われ、現在も耳にする機会がある。
最初のリリースは1979年のシングル「Rock It」だった。続いて同年末にデビュー・アルバム『Mouth to Mouth』を発表し、その中から「Funkytown」が大ヒットした。翌1981年には「How Long?」もダンスチャートで上位に入っている。もともとはAceの曲として知られるナンバーだ。
ただし、「Funkytown」の成功を超えるシングルはその後は出ていない。1983年には3作目『Designer Music』の後、Cynthia Johnsonがバンド名義での活動をやめ、Margie CoxやMelanie Rosalesが参加した最後のアルバム『4』がリリースされたが、継続的な成功にはつながらなかった。
初期のLipps, Inc.は固定メンバーのバンドというより、セッション・ミュージシャンを含む流動的な編成で活動していた。ギタリストのDavid RivkinやTom Riopelle、ベーシストのTerry Grantらが参加している。
Lipps, Inc.の音楽は、ファンクのリズム感とディスコの推進力が前面に出ている。Steven Greenbergの打ち込みや構成の作り方に、Cynthia Johnsonの歌とサックスが乗る形で、ダンスフロア向きの曲が組み立てられている。
特に「Funkytown」は、シンセサイザーのフレーズ、反復するベース、はっきりしたビートが目立つ。派手な展開よりも、同じモチーフを押し出して曲を進める作りになっていて、当時のディスコ・サウンドの特徴がよく出ている。
Lipps, Inc.は、1曲の大ヒットで広く知られるようになったグループだが、「Funkytown」はその後のポップ・カルチャーにも残った。映画、テレビ、スポーツ会場などで使われ続けていて、ディスコ期の代表曲として扱われることが多い。
バンドとしての活動は長く続かなかったものの、ミネアポリスの音楽史や、70年代末から80年代初頭のダンス・ミュージックを語る場面では外せない存在だ。Cynthia Johnsonの歌声と、Steven Greenbergの制作感覚が結びついた結果として生まれた「Funkytown」は、Lipps, Inc.の名前を今も残している。
http://en.wikipedia.org/wiki/Lipps,_Inc.