Vinyl Record Reviews
Little Beaverは、1945年8月15日にアーカンソー州フォレスト・シティで生まれたギタリスト、Willie George Haleの芸名だ。幼いころから前歯が目立っていたことからこのあだ名で呼ばれるようになり、若い時期からギタリストとして知られるようになった。ジャンルはFunk / Soulで、活動の軸もそのあたりにある。
Little Beaverは1960年代初頭にフロリダへ移り、1969年にWillie Clarkeに見出された。その後、Henry Stoneが率いたTK Records傍系のCatレーベルと契約している。Catはマイアミ近郊のヒアリアを拠点にしていたレーベルだ。
この時期、彼はソロだけでなくセッション・ギタリストとしても動いていて、TKまわりの多くのヒット作に参加した。Betty Wrightの「Clean Up Woman」で弾いているギターも、その代表的な仕事として知られている。
ソロとしては1972年にCatからシングル「Joey」を発表し、ここではSteve Alaimoがプロデュースを担当している。その後、1974年の「Party Down」で大きく注目を集めた。この曲はBillboardのR&Bチャートで上位に入るヒットになった。
同名アルバム『Party Down』は1974年にCatから出ていて、ブルース、ソウル、ファンクを混ぜた内容でまとまっている。「I Can Dig It Baby」では、若い頃のJaco PastoriusがNelson “Jocko” Padron名義でベースを弾いたと伝えられている。
Little Beaverは1970年代に5枚のアルバムを発表している。Catレーベル期の作品を中心に、ギターを前に出したソウル/ファンクのスタイルで活動していた。
TK Recordsは1981年に破綻し、それに伴ってLittle Beaverのレコーディング活動も1980年代初頭にはほぼ止まった。ただ、完全に表舞台から消えたわけではなく、2003年にはBetty Wrightの声かけでJoss Stoneのアルバム『The Soul Sessions』と『Mind Body & Soul』に参加している。
さらに2008年には、Henry Stone Musicから新作アルバムを発表している。
Little Beaverの楽曲はヒップホップでもサンプリングされている。People Under the Stairsが2002年に、Jay-Zが2007年に、Kendrick Lamarが2024年に彼の音源を使っている。こうした使われ方を見ると、当時の録音が後年の制作でも参照され続けていることがわかる。
Little Beaverを追うなら、まずは「Party Down」と『Party Down』を起点にすると流れがつかみやすい。ソロ作品だけでなく、Betty Wrightの「Clean Up Woman」みたいなセッション参加曲も合わせて聴くと、彼のギターの役割が見えやすい。
FunkとSoulを軸にしながら、ブルースの要素も入った演奏をしているので、TK周辺のマイアミ・ソウルを聴く入り口としても扱いやすい存在だ。