Little Beaver - Party Down (1974)
Little Beaver『Party Down』(1974)
Little BeaverことWillie George Haleは、アーカンソー州フォレスト・シティ出身のギタリストで、1945年8月15日生まれ。幼いころのあだ名をそのまま名乗り、1960年代初頭にフロリダへ移ってから、マイアミ周辺のソウル/ファンク・シーンで腕を磨いた人物だ。1970年代のTK系レーベルに深く関わり、セッション・ギタリストとして数多くの録音に参加している。
この『Party Down』は1974年にUSのCat Recordsから出たアルバムで、Little Beaverにとってソロ作の中でも重要な位置を占める一枚。CatはHenry Stoneが立ち上げたマイアミのソウル・レーベルで、TK Productions傘下の動きと結びつきながら70年代の南部ソウル/ファンクを支えた存在だ。本作はその流れの中で、ギターを前面に押し出したLittle Beaverの持ち味がまとまった作品として受け取れる。
アルバムの輪郭
収録曲は「Party Down」パート1・2を軸に、「Money Vibrations」「Get Into the Party Life」「I Can Dig It Baby」「Let the Good Times Roll」「Let's Stick Together」の全7曲。曲数は多くないが、タイトル曲を中心にアルバム全体がひとつの流れでつながる構成になっている。ソウルの歌ものとしての分かりやすさと、ファンク寄りのリズム感が同居していて、派手な展開よりも演奏の粘りで聴かせる内容だ。
タイトル曲「Party Down」は本作の代表曲で、BillboardのR&Bチャートでも上位に入ったヒット曲として知られる。Little Beaverの名前を広く押し上げたのはこの曲で、アルバムの核もここにある。曲名どおりのパーティー感を前面に出しつつ、ギターの細かい刻みが曲の推進力になっているのが印象に残る。
聴きどころと演奏の印象
Little Beaverの持ち味は、歌よりも先にギターのフレーズが耳に入ってくるところにある。TK系の録音でBetty Wright「Clean Up Woman」に参加していたことでも分かる通り、彼はリズムの隙間を埋めるのがうまい。『Party Down』でもその感覚ははっきりしていて、音数を詰め込むより、短いフレーズを置いて曲全体を押していく。
「I Can Dig It Baby」では、ベースにJaco Pastoriusが参加していたと伝えられている。アルバム上ではNelson “Jocko” Padron名義でクレジットされており、このあたりはTK周辺のセッション文化を感じさせる部分でもある。ベースとギターが前に出る場面では、ソウルの枠内に収まりながらも、演奏者同士の反応で曲が進んでいく。
同時代の文脈
1974年の南部ソウルやファンクは、メンフィスやマイアミを中心に、グルーヴを軸にした録音が多い時期だ。Little Beaverの作品もその流れの中にあり、サザン・ソウルの歌心と、ファンクの反復するリズムが近い距離にある。派手なオーケストレーションで押すタイプではなく、バンドの演奏感で聴かせる点に、同時代のファンク・ソウルらしい手触りがある。
また、Little Beaverは単なるソロ・アーティストというより、TK系の現場で支え役も担っていたミュージシャンだ。そうした背景を踏まえると、『Party Down』は“ギタリストが主役に立った作品”というより、“現場で培ったリズム感と音の置き方が、そのままアルバムになった作品”として見えてくる。
後年へのつながり
Little Beaverの楽曲や演奏は、後年のヒップホップでもサンプリングされている。People Under the Stairs、Jay-Z、Kendrick Lamarらが彼の楽曲を使っていることは、短いフレーズの中に引用しやすいリズムや音の輪郭があることを示している。70年代のソウル/ファンクが、のちの時代で再解釈される経路のひとつにLittle Beaverがいる。
さらに、TK Recordsが1981年に活動を終えたのちも、Little Beaverは完全に消えたわけではなく、2003年にはBetty Wrightの呼びかけでJoss Stoneの作品に参加している。70年代のマイアミ・ソウルを支えたギタリストが、かなり後年までその文脈で語られている点も興味深い。
盤の情報
- アーティスト: Little Beaver
- タイトル: Party Down
- リリース年: 1974年
- レーベル: Cat (2604)
- リリース国: US
- ジャンル: Funk / Soul
- スタイル: Soul, Funk
ジャケットには「CAT RECORDS - 2604」、ラベルには「LP-2604」とあり、スパインには名前もCat番号も入っていない仕様だ。Cat RecordsはT.K. Productions系のレーベルとしてマイアミの70年代ソウルを象徴する存在で、このアルバムもその現場から生まれた一枚として整理できる。
『Party Down』は、Little Beaverのギターが曲の中心に据えられた1974年のソウル/ファンク作品だ。タイトル曲のヒット、TK周辺のセッション文化、そして後年のサンプリングまで含めて見ると、単なるアルバム単体ではなく、マイアミ発のグルーヴが広がっていく途中の記録としても読める。
トラックリスト
- A1 Party Down 3:14
- A2 Party Down (Part Two) 3:01
- A3 Money Vibrations 3:35
- A4 Get Into The Party Life 4:12
- B1 I Can Dig It Baby 6:58
- B2 Let The Good Times Roll 5:20
- B3 Let's Stick Together 5:00