Vinyl Record Reviews
Lords Of The New Churchは、1982年に結成された英米混成のゴシック・ロック・グループだ。1989年まで活動し、スタジオ・アルバムは3枚残している。パンクの周辺から出てきたバンドとして扱われることが多いが、単純なパンク・バンドというより、ニュー・ウェイヴやオルタナティヴ・ロック、ゴス・ロックの要素を組み合わせたグループとして知られている。
中心人物は、The Dead Boysのスティーヴ・ベイターズと、The Damnedのブライアン・ジェイムズだ。2人は1977年にCBGBでの共演と、その後の英国ツアーで知り合ったとされる。その後、それぞれのバンドを離れたのち、1980年に再び親交を深め、Sham 69/Barracudas出身のベーシスト、デイヴ・トレグナとドラマーのニック・ターナーを加えて、1981年にLords of the New Churchを結成した。
1970年代パンクの主要バンドにいたメンバーが集まったことで、「パンク初のスーパーグループ」として注目を集めた。
初期の核になったのは、スティーヴ・ベイターズ、ブライアン・ジェイムズ、デイヴ・トレグナ、ニック・ターナーの4人だ。プロフィール欄にはそのほかにも複数の名前が挙がっているが、バンドの中心的な来歴としては、この4人の組み合わせが重要だ。
それぞれの出身バンドを見ると、The Damned、The Dead Boys、Sham 69といった70年代パンクの文脈がはっきりしている。Lords Of The New Churchは、その流れを引き継ぎながら別の方向へ進んだグループとして整理しやすい。
サウンドは、純然たるパンクよりもメロディを前に出した作りで、プロダクションも比較的整っている。演奏面でも、勢いだけに寄らず、きっちりしたバンド・アンサンブルを聴かせる構成が目立つ。
この方向性は、ハードコア・パンク寄りのリスナーには受け入れられにくかった面がある一方で、ゴスやポップ・パンクのリスナーには届きやすかったようだ。パンクの粗さを残しつつ、ニュー・ウェイヴ的な整理された感触や、ゴス・ロックの暗い質感を混ぜたバンドとして見ておくと分かりやすい。
活動は1982年から1989年までで、解散までに3枚のスタジオ・アルバムを発表した。長く続いたバンドではないが、70年代パンクの出身者たちが80年代前半の空気に合わせて別の音像を作ろうとした例として、今も参照されることがある。
フロントマンのスティーヴ・ベイターズは、1990年6月3日にパリの路上でタクシーにはねられた。その後、搬送先の病院で治療を受けずに立ち去り、その夜に自宅で亡くなった。40歳だった。遺灰は、彼の意志によりパリのジム・モリソンの墓に撒かれたと伝えられている。
Lords Of The New Churchは、パンクの直系というより、その出身者たちが80年代にどんな音を作ったかを示すバンドとして追うと見やすい。The DamnedやThe Dead Boys、Sham 69の周辺を聴いている人なら、名前だけでなく流れごと押さえておきたいグループだ。