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Mystic Merlinは、ニューヨーク出身のUSソウル/ファンク・グループだ。メンバーにはFreddie Jackson、Clyde Bullard、Leslie Dorsey、Jerry Anderson、Barry Strutt、Sly Randolph、Keith Gonzalesが名を連ねている。活動初期は「Mystic Merlin’s Magic Band」と名乗り、ライブにマジックの要素を取り入れていたことで知られる。
バンド名に“Magic Band”が入っていた時期のMystic Merlinは、演奏だけでなく、手品や視覚的な演出を組み合わせたステージで注目を集めていた。Keith Gonzalesは主にリード・ヴォーカルを務め、バンドの中心人物のひとりだった。紹介文や当時の発言では、マジックの要素を前面に出しつつ、家族連れでも見られるショーを意識していたことがうかがえる。
その後、こうした“ギミック”を外し、SoulやDanceのシーンで真っすぐ評価される方向へ進んでいった。ステージの見せ方を変えながら、音楽グループとしての存在感を強めていった流れだ。
Mystic Merlinの音楽は、Funk、Soul、Discoを軸にしている。ダンス向けのビート感と、ソウル・グループらしい歌のまとまりが両方あるタイプで、80年代初頭のクラブ・シーンとも相性がよかった。
代表曲としてよく知られているのが「Just Can't Give You Up」だ。1980年のセルフタイトル・デビュー作『Mystic Merlin』(Capitol Records)に収録されていて、イギリスではトップ20入りを記録した。ダンス・クラシックとして扱われることも多く、後年にはそのアカペラ部分がイギリスのグループLife On Earthによる「Can't Give You Up」に引用されている。
この曲は、Mystic Merlinが単なる“変わり種のバンド”ではなく、ダンス・ミュージックとしても通用する楽曲を残していたことを示す1曲として見られている。
Mystic Merlinを語るうえで外しにくいのが、Freddie Jacksonの存在だ。Jacksonはこのバンドでキャリアを始め、1982年以降はメイン・ヴォーカルを担当することもあった。3作目のアルバム『Full Moon』では、まだ無名だったJacksonがヴォーカルを務めている。
バンドを離れた後のJacksonは、1985年の「Rock Me Tonight (For Old Times' Sake)」、同じく1985年の「You Are My Lady」、1986年の「Have You Ever Loved Somebody」などでヒットを連発した。Mystic Merlinは、後のR&Bシーンで大きく成功する歌手を送り出したグループとしても記録されている。
Mystic Merlinは、マジックを取り入れたライブ演出から始まり、のちにソウル/ダンス・グループとして活動の軸を定めたバンドだ。代表曲「Just Can't Give You Up」はダンス・クラシックとして残り、さらにFreddie Jacksonの出発点になったことでも名前が残っている。
派手な演出の印象だけで終わらず、楽曲と歌でシーンに足跡を残したグループとして、80年代のUSソウル/ファンクの流れの中で見ておきたい存在だ。