Vinyl Record Reviews
Mzylkypopは、イングランド・シェフィールドを拠点に活動するマイケル・サマセット・ウォードのプロジェクトである。公開されているクレジットではメンバーはMichael Wardとなっており、Bandcampでも作品を確認できる。
ウォードは、クロックDVAでサックス奏者としてキャリアを始めた人物で、その後フロイ・ジョイに参加し、デトロイトでドンおよびデイヴィッド・ワズ(ワズ・ノット・ワズ)とレコーディングを行っている。こうした経歴から、UKのポスト・パンクやアヴァンポップの周辺で長く活動してきたことがうかがえる。
Mzylkypop名義では、2021年にDiscus Musicから1stアルバム『Kiedy Wilki Zawyją?(When Will the Wolves Howl?)』を発表した。2024年には2ndアルバム『Threnodies and Ad hocs』をリリースしている。
1stアルバム『Kiedy Wilki Zawyją?(When Will the Wolves Howl?)』では、1970年代初頭のサイケデリア、ミューテント・プログレ、フリージャズのサックス・ソロ、ブルース、スパイ映画風のサウンドトラックといった要素を、大所帯のバックバンドで組み立てている。作品の中心はポップスというより、実験性の強い構成に置かれている。
ジャンル表記ではRock、Jazz、Folk、World、Countryが並び、スタイル欄にはExperimental、Psychedelic Rock、Jazz-Rockが挙がっている。実際の作品説明でも、ロック、ジャズ、サイケデリア、フリージャズの要素が重なっている。
2024年作『Threnodies and Ad hocs』では、冒頭の組曲「Threnodies」にポーランド出身のシンガー、シルヴィア・アンナ・ドルヴァルが参加している。続く「Ad hocs」パートでは、クロックDVAのエイディ・ニュートン、ワズ・ノット・ワズのデイヴィッド・ワズ、キャバレー・ヴォルテールのスティーヴン・マリンダー、ザ・ボックスのピート・ホープがヴォーカルで参加している。
この顔ぶれからは、ウォードが長年関わってきたアヴァンポップ周辺の人脈が、そのまま作品に反映されていることが見えてくる。1stアルバム以上に、周辺シーンとの接点が前面に出た内容になっている。
作品はBandcampで公開されている。Mzylkypopのディスコグラフィーを追うなら、まずは1stアルバムと2ndアルバムの2作から入ると流れがつかみやすい。