Vinyl Record Reviews
Nelly Furtadoは、1978年12月2日にカナダ・ブリティッシュコロンビア州ビクトリアで生まれたシンガー/ソングライター/プロデューサー/女優だ。ポルトガル系の両親のもとで育ち、ポルトガルの教会音楽、ファド、家族の合唱に触れる環境があった。現在の音楽性にも、その背景が反映されている。
1996年にトロントへ移り、昼はアラーム会社で働きながら、夜にTallis Newkirkとのトリップホップ・デュオ「Nelstar」として制作やフリースタイルに取り組んでいた。本人のキャリアでは、この時期の経験がソロ活動の土台になっている。
また、トロントではCosmos Westというレコード店で働いていた時期もある。現場で音楽に触れながら、制作と並行して活動を続けていた形だ。
2000年のデビュー作『Whoa, Nelly!』で広く知られるようになった。シングル「I'm Like a Bird」がヒットし、グラミー賞では最優秀女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞している。この時点で、ポップを軸にしつつも、単純に一つの型へ収まらない歌い方と曲作りが目立っていた。
続く2003年の『Folklore』では、ポルトガル系のルーツをより前面に出している。商業的には前作ほどの勢いにはつながらなかったが、本人のバックグラウンドを音楽に落とし込んだ作品として位置づけられている。
転機になったのは2006年の『Loose』だ。Timbalandを迎えて制作され、「Promiscuous」「Maneater」などのヒットを生んだ。ここではヒップホップ色が強まり、セクシャルな表現を含む曲調へと大きく振れている。
このアルバムは世界で1200万枚以上を売り上げ、Nelly Furtadoのキャリアの中でも最大級の成功作になった。ポップ、ヒップホップ、R&Bを混ぜたサウンドの広がりが、そのまま作品の勢いにつながっている。
2009年には自身のレーベルを設立し、その名前に初期のデュオ時代と同じ「Nelstar」を再び使っている。キャリア初期の活動名を、そのまま独立後のレーベル名に引き継いだ形だ。
私生活では、2008年から2016年までDemacio Castelleonと結婚していたことが知られている。
Nelly Furtadoのキャリアを追うと、最初から一つのジャンルに固定されていないことが分かる。ポルトガル系のルーツを持つカナダ出身のアーティストとして、フォーク、ポップ、R&B、ヒップホップ、ラテンの要素を行き来しながら、作品ごとに見せ方を変えてきた。デビュー作の「I'm Like a Bird」、ルーツを掘った『Folklore』、大きく路線を変えた『Loose』は、その流れをたどるうえで重要なポイントになっている。
公式サイトやSNSも動いていて、現在の活動情報はそちらでも追える。