Vinyl Record Reviews
Neu!は、1971年にドイツ・デュッセルドルフでクラウス・ディンガーとミヒャエル・ローターによって結成されたクラウトロック・バンドだ。2人は、結成初期のクラフトワークに参加したあと、フローリアン・シュナイダーとの方向性の違いもあってグループを離れ、その後にNeu!を立ち上げている。
デビュー・アルバムは、プロデューサーのコニー・プランクを迎えて短期間で録音された。プランクは、Neu!の作品全体に深く関わった人物として知られていて、しばしば“隠れたメンバー”のように扱われることがある。
この初期作品でNeu!は、反復する4拍子のビートを軸に、ギターやキーボードを重ねる方法を打ち出した。特に「Hallogallo」に見られる、一定の推進力を持つビートは、のちに“モトリック・ビート”や“アパッチ・ビート”と呼ばれるようになる。
Neu!の音楽は、ロックの演奏感と電子音響的な処理が同居している。リズムは大きく崩さずに進み、その上でギターのフレーズや音響処理を積み上げていく作り方が目立つ。
3作目の『Neu! '75』では、メンバー間の志向の違いがはっきり表に出た。ミヒャエル・ローターはアンビエント寄りの静かな方向を、クラウス・ディンガーはより荒いロック寄りの方向を求めていたため、アルバムはA面とB面で性格が分かれている。
Neu!の中心メンバーはクラウス・ディンガーとミヒャエル・ローターだ。ほかにトーマス・ディンガー、ハンス・ランペ、エーベルハルト・クラナーマンがメンバーとして関わっている。作品ごとに編成は変化していて、特に『Neu! '75』ではその違いが音にも出ている。
制作面ではコニー・プランクの存在が大きい。バンドの基本的な音像を固めるうえで、彼の役割はかなり重要だったようだ。
Neu!は活動当時に大きな商業的成功を収めたわけではない。ただ、後から見るとクラウトロックを代表するバンドのひとつとして扱われている。
影響を受けたとされるアーティストには、デヴィッド・ボウイ、ブライアン・イーノ、ソニック・ユース、ステレオラブなどがいる。ロック、ポストパンク、電子音楽の複数の流れにまたがって参照されてきたバンドだ。
「Hero」とデヴィッド・ボウイの「Heroes」のタイトルの関係も、しばしば話題に上がる。直接的な断定はしにくいが、Neu!の音楽が70年代後半以降のロックや電子音楽の文脈で見直されてきたことは確かだ。
Neu!を追うなら、まずは「Hallogallo」を聴くとこのバンドの基本がつかみやすい。反復するビートと、前に進み続けるような演奏の組み立てがはっきり出ている。
そのあとで『Neu! '75』に進むと、同じバンドの中でロック寄りの緊張感と、音響寄りの方向がどう分かれているかが見えてくる。クラウトロックの入口としても、後のオルタナティヴ・ロックや電子音楽の流れをたどる入口としても、チェックしやすい存在だ。