Vinyl Record Reviews
Neurosisは、1985年12月にアメリカ・カリフォルニア州オークランドで結成されたバンドだ。Scott Kelly、Dave Edwardson、Jason Roederの3人が、以前在籍していたハードコア・パンク・バンドViolent Coercionを離れたあとに始めたグループで、出発点はハードコア・パンクにある。
その後のNeurosisは、スラッジ・メタル、ドゥーム・メタル、ポスト・メタル、インダストリアル、プログレッシブ・メタルなどの要素を取り込みながら、かなり独自の方向へ進んでいった。ダーク・アンビエントやフォークの要素も加わり、単純なジャンル分けでは収まりにくいバンドとして知られている。
初期はハードコア・パンクの文脈にいたが、活動を重ねるにつれて音の重心が下がり、より遅く、より重いリフを軸にしたスタイルへ移っていった。1993年の『Enemy of the Sun』では、その方向性がかなりはっきりしている。
1996年の『Through Silver in Blood』は、Neurosisを語るうえで外せない作品として扱われることが多い。まだ「ポスト・メタル」という呼び方が定着する前の時期に出たアルバムで、のちの同系統のバンドに影響を与えた作品のひとつとして見られている。Black SabbathやSwansからの影響を受けつつも、メタルの定番的な展開だけに頼らない構成が特徴になっている。
1990年代後半からは、自主レーベルNeurot Recordingsを運営している。自分たちの作品だけでなく、関連アーティストの作品もリリースしてきた。
Neurosisの音は、スラッジ・メタルとドゥーム・メタルを土台にしながら、インダストリアル由来の質感や、暗いアンビエント的な音の処理が入っている。曲の進み方も、一般的なメタルに多い速い展開やリフの反復だけではなく、空間の取り方や音響の積み上げが重要になっている。
また、フォークの要素が混ざる時期もあり、アコースティックな響きや静かなパートを挟みながら全体の流れを作る曲もある。メンバー構成にキーボード、シンセ、サンプルを扱うNoah Landisがいることも、バンドの音作りに影響している。
長く中心にいたScott Kellyは、2022年に2019年の離脱が公表された。現在の編成には、Dave Edwardson、Jason Roeder、Steve Von Till、Noah Landisに加えて、2024年に加入したAaron Turnerがいる。Aaron TurnerはIsisで知られるミュージシャンで、2026年には新しいアルバムとともにNeurosisが再び動き出した。
メンバーやスタッフの入れ替わりはあったが、バンド名義での活動は続いている。Steve Von Tillはギターとヴォーカル、Dave Edwardsonはベースとヴォーカル、Jason Roederはドラムを担当してきた。Noah Landisはキーボード、シンセ、サンプル、プログラミングなどを担っている。
Neurosisは、重い音を鳴らすバンドとしてだけ見ると少し見落としが出る。曲の中では、音圧だけで押す場面と、音数を絞って空気を作る場面がはっきり分かれていることが多い。そこにインダストリアルっぽいノイズや電子音、時期によってはフォーク寄りの要素も入る。
メタルの枠で聴くと、リフの作り方や曲の長さがかなり違って感じられるかもしれない。ハードコア・パンク出身という背景を持ちながら、そこから別の方向へ大きく広がっていったバンドとして追うと、アルバムごとの変化がわかりやすい。
公式サイトやBandcamp、SNSでも活動情報を確認できる。長い活動歴の中で編成や音の作り方を変えながら、Neurosisは今も独自の位置を保っている。