Vinyl Record Reviews
Nine Days' Wonder(ナイン・デイズ・ワンダー)は、ドイツ・マンハイムで活動した1970年代のアンダーグラウンド・ロック・バンドだ。中心人物はヴォーカルのWalter Seyffer(ヴァルター・ザイファー)で、彼は1960年代から複数のバンドで歌っていた経歴を持つ。本人の説明では、バンドの起点は1966年の「The Graves」にさかのぼり、1970年2月にNine Days' Wonderへ改名したとされている。
メンバーはドイツ、オーストリア、アイルランド、イギリス出身者が混在していた。初期のラインナップには、Walter Seyffer、Rolf Henning、John Earle、Karl Mutschlechner、Martin Roscoeらがいたとされる。国籍の異なる演奏者が集まっていた点も、このバンドの特徴のひとつだ。
1971年にセルフタイトルのデビュー・アルバムを発表し、その後1976年までに計4枚のアルバムを残している。デビュー作は5日間で録音されたとされ、代表作として扱われることが多い。初期ラインナップは翌年までに解散し、John Earleはイギリスへ渡ってGnidrologに加入した。その後もバンドはメンバーを入れ替えながら活動を続けた。
ザイファーはその後、1979年から1981年にかけてBernd UngerとWintergardenを結成し、EMIから2枚のアルバムを出している。
Nine Days' Wonderは、クラウトロックの要素を広く取り込んだロック・フュージョンを志向していた。サウンド面では、フランク・ザッパやイギリスのプログレッシヴ・ロックからの影響が指摘されている。King Crimsonの名も挙げられることがある。
同時代のドイツのサイケ系バンドに見られる即興性よりも、Nine Days' Wonderは書き込まれたアレンジや難度の高いリフで知られていた。レビューや紹介文では、演奏の組み立てが緻密で、音の作りがかなり整理されている、といった受け止め方が見られる。
このバンドの面白いところは、メンバーの背景がかなり幅広いことだ。ドイツを軸にしつつ、オーストリア、アイルランド、イギリスの演奏者が加わっていた。初期メンバーとしては、
などが挙げられる。さらに、Michael Bundt、Sid Gautama、Bernd Unger、Peter Oehler、Hans Frauenschuh、Freddie Münster、Karl-Heinz Weiler、Walter Kirchgässnerらの名前も関連メンバーとして記録されている。
Nine Days' Wonderは、ドイツの地下シーンにいたバンドの中でも、プログレッシヴ・ロック寄りの構成力を持ったグループとして語られることが多い。クラウトロックの枠に収まりつつも、そこにザッパ的なひねりや英国プログレの組み立てを持ち込んでいた点が、他のバンドとの違いとして扱われている。
また、デビューから短期間で録音されたアルバムが代表作とされていることからも、当時の制作スピードと完成度の両方に注目が集まっていたことがうかがえる。活動期間は長くないが、70年代ドイツ・ロックの文脈では、細かく作り込まれたアレンジを持つバンドとして確認しておきたい存在だ。
公式サイトやインタビュー記事、Prog ArchivesやJazz Rock Soulのようなアーカイブ系サイトでも、Nine Days' Wonderはマンハイム発の重要なアンダーグラウンド・ロック・バンドとして紹介されている。70年代のドイツ・ロックを掘るとき、クラウトロックとプログレの接点を見せるバンドとしてチェックしておくと面白い。